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自然災害の際に頼りになる情報源は!?

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 迫りくる自然災害。頼りになるのはどこルートの情報か

「速さも正確さもテレビが一番」との認識

自然災害の襲来の際には、適切な分析と判断をするため、当事者の見識と共に速く、そして正確な情報が求められる。人々はどのようなルートの情報を頼りにしているのだろうか。東京工芸大学が2014年12月に発表した「災害情報の活用に関する調査」の結果から、現状を確認していく。

まずは速さの観点だが、最も多くの人が速さの上で頼りにしているのは「テレビ」だった。8割強の人が「テレビは速さの面で情報源として頼りになる」と答えている。

↑ 自然災害の発生時から発生直後に「情報の速さの面」で頼りにする情報源(複数回答)
↑ 自然災害の発生時から発生直後に「情報の速さの面」で頼りにする情報源(複数回答)

日本人は諸外国と比べてテレビへの信奉度が高いことで知られているが、その状況は今件でも明らかにされている。少なくとも速さの観点では、テレビは相当頼られている。次いで多くの人が挙げているのは「緊急速報メール」。気象庁による緊急地震速報は今なお精度を高めるために試行錯誤が続けられているが、少なくとも速さの点で、相応の信頼性を勝ち得ている。

続いて「ラジオ」、さらには「ポータルサイト」が名前を連ねている。「ラジオ」はともかく「ポータルサイト」が上位に来ていることに意外さを覚える人もいるかもしれない。

これが正確さの観点となると、順位に変動が生じてくる。

↑ 自然災害の発生時から発生直後に「情報の正確さの面」で頼りにする情報源(複数回答)
↑ 自然災害の発生時から発生直後に「情報の正確さの面」で頼りにする情報源(複数回答)

正確さでも「テレビ」が最上位。速報的・一次情報的な観点はともかく、編集が多分に入りワイドショー的な構成による内容では、正確さの上で問題が生じ得る実態は、先の震災で相次ぎ露呈している。しかし現在もなお正確さの上で、絶大な信頼を勝ち得ているのが判明した。「ラジオ」も似たようなものだが、こちらも正確さにおいても信頼度は高い。

今件はインターネット経由の調査であることから、いくぶん心情の上で加算されているかもしれないインターネット上の口コミ系情報に目をやると、概して頼りにはされていない。あまりにも余計な、そして正しくない情報が多いことから、情報の受け手による精査が仕切れないため、頼りに出来ないとの判断によるものだろう。

速さと正確さを併記すると

速さと正確さ、双方を同じグラフにまとめると、災害時の各メディアへの信頼のされかたの特性が見えてくる。

↑ 自然災害の発生時から発生直後に「情報の速さの面」「情報の正確さの面」で頼りにする情報源(複数回答)
↑ 自然災害の発生時から発生直後に「情報の速さの面」「情報の正確さの面」で頼りにする情報源(複数回答)

「テレビ」は速さ・正確さ双方で絶大な信頼を集めていること、「緊急速報メール」「ポータルサイト」は速さの上では一定量の信頼を得られているものの、正確さの上では今一つであること、「家族・親戚」「友人・知人」さらには「SNS口コミ」のような、メディアを問わずの口コミ系の情報は、速さでそれなりに頼られているが、正確ではあまりあてにはされていない実態がつかみ取れる。

メディア経由の情報の場合は、そのメディアのツールとしての特性に加え、流す情報を創り上げる関係者・組織の性質次第で、頼りになる度合いが変わってくる。発信側は重要性を十分留意した上で、情報発信に取り組んでほしいものである。

■関連記事:

世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる(2010-2014年)(最新)

新聞一番テレビが二番…メディアへの信頼度、テレビと新聞の高さ継続(2014年)(総務省)

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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