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熱中症での救急搬送者数は1週間で1637人、前年同期比7.1倍・同時期では過去最高を記録

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 暑い中での救急車のサイレンには「熱中症か?」との想いを巡らせるもの

総務省消防庁は2014年6月3日付で、5月26日から6月1日に至る一週間の熱中症による救急搬送人数が1637人(速報値)であることを発表した。前週の352人(速報値からの修正済み)と比べると1300人近く増加している。今回該当週における搬送者数は、消防庁が6月から統計を取り始めた2010年以降では最大の値を示し、また前年の同時期(230人)と比べて約7.1倍を記録することとなった。そして初診時に熱中症を起因とする死亡者は4人が確認されている。

↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2014年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2014年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2014年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2014年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2014年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2014年)

先日、今夏の電力事情について政府発表がなされたことに関する解説記事「ギリギリ数字目標無しの節電要請…2014年夏季の節電要請内容正式発表」でも触れているが、気象庁などでは今年はエルニーニョ現象の発生により冷夏となる可能性が多分にあると予測している。一方で電力需給事情は昨年よりも一段と厳しいものとなることが確実な状態にあり、各方面で警戒体制が敷かれている。

これに合わせて気象庁でも、熱中症に対する警戒を強め、従来ならば6月1日を含む週から熱中症を起因とする救急搬送者の集計を行っていたが、今年はその一週間前となる5月19日~25日の週より集計を実施している。今回発表されたのは今年の分としては第2週目のもの。

今回計測週は週後半にかけて全国的に高気圧に覆われ、各地で真夏日(一日の最高気温が30度以上の日)、猛暑日(同35度以上)を記録した。都心部でも土日にかけて30度以上の高温を観測、光化学スモッグ注意報などの発令も確認されている。この高温を受けて各地で熱中症(の疑い)で救急搬送される人が続出し、今回のような記録的な値を出す事態となった。

↑ 東京都の最高気温と天候(2014年5月26日-6月1日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2014年5月26日-6月1日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2014年5月26日-6月1日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2014年5月26日-6月1日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(速報値・2014年5月26日-6月1日・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(速報値・2014年5月26日-6月1日・人)

該当週一週間の搬送者数のうち実に2/3がこの週末の2日間に集中していることから、土日にかけての気温上昇が、搬送者数急増の要因となったことが確認できる。また熱中症で初診時に死亡が確認された4人も、全員がこの2日間のもので、急な気温の上昇につい油断をしてしまった、さらには体が周辺環境の急激な変化に耐えられなかったものと考えられる。

厚生労働省では5月27日付で、今夏期向けの熱中症対策の広報展開として、リーフレットを配布し、周知喚起を実施している(「今年も熱中症の季節到来、厚生労働省がリーフレット公開で注意喚起へ」)。

↑ 厚生労働省が公知したパンフレット「熱中症予防のために」(一部)
↑ 厚生労働省が公知したパンフレット「熱中症予防のために」(一部)

熱中症対策は去年も今年も大きな変化は無い。またこの時期はカレンダー的には暑さを覚えるものの、夏には入っていないことから、つい熱中症に対する警戒をおろそかにしがちである。あらためてパンフレットの内容を確認し、昨年までの熱中症対策を思い返し、反復し、基本的な要件を守り、屋外はもちろん屋内においても、くれぐれも油断をせずに応じてほしいものだ。自分自身はもちろん、周囲の人に対しても、である。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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