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「クラッシュ寸前です」「5億円消費税対策給付金当選」ネット界隈で相次ぐ詐称と注意喚起

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「パソコンが壊れそう」「5億円当選」騙しの罠はそこかしこに

「スパイウェアを探知しました」警告表示広告に国民生活センターが注意喚起

新年度でインターネット利用を新たに始める人も増える機会でもあり、初心者がインターネットを利用する際にだまされやすい事案に関して、注意喚起が相次いで公的機関から行わている。今回はその中でも特に初心者へのリスクが高い「不安をあおる広告」と「消費税還付金」に関する2事案を解説する。

まずは2014年4月24日付で、国民生活センターが行った注意喚起(突然現れるパソコンの警告表示をすぐにクリックしないこと!-その表示は、有料ソフトウエアの広告かもしれません-)。パソコンを操作中に性能の低下や危険を知らせるメッセージ(広告)が表示されて不安になり、その広告を中継してセキュリティーソフトや性能アップをうたうソフトなどをダウンロード購入してしまったものの、その警告などが偽りのものであることが気が付き、騙されたというもの。これは以前にも行われた警告ではあるが、昨今とみに相談事例が増加したため、あらためての喚起となる。相談事例においては、購入者による平均契約購入金額は約6000円とのこと。

↑ 警告ウィンドウを装い不安を煽りソフトのダウンロード購入を誘導する広告事例
↑ 警告ウィンドウを装い不安を煽りソフトのダウンロード購入を誘導する広告事例
↑ 警告表示をきっかけにネットでソフトをダウンロードしたなどの相談件数推移(2013年度はまだ未了の時点における暫定件数)
↑ 警告表示をきっかけにネットでソフトをダウンロードしたなどの相談件数推移(2013年度はまだ未了の時点における暫定件数)

具体事例としては「パソコンの画面に出た「危険」という文字に惑わされてソフトをクレジットカードで購入したが、同様の詐称事象を見聞きして不安になった」「ソフトを購入後も、パソコンに同じ警告表示が出て、クリックすると再び購入を求められた」「無料ソフトをダウンロードすると、有料の表示が出た。パソコンを起動するたびに同じ有料警告メッセージが出る」「大手のパソコンの会社のようなマークが表示されたので信用した。しかし自動更新した覚えがないのに自動更新なので支払ってほしいと請求を受けた」などが挙げられている。

問題点としては、シニア層などのパソコンに不慣れな人が対象者の多くであること、画面上にパソコンのトラブルやリスクを表示させて利用者の不安をあおる広告であること、多様な購入画面を駆使して誘導していること、超大手のパソコン企業に類似したマークを使う、あるいは同社から許諾を受けた販売店であることを表して信頼させる事例もあること、購入後は英語など日本語以外の対応しか受け付けていない事例があるなど、多数挙げられる。いずれも利用者による錯誤を容易に誘導したり、解約しにくい仕組みを用意して継続して搾取させられる仕組みがとられている。

国民生活センター側では一連の広告やその類の表示に関して、

・パソコン画面に突然警告表示が出ても、信頼できる表示か否かを自分で判断できない時にはクリックしない(大体は単なる広告)。パソコンに最初から組み込んでいるいるソフト以外の警告表示が出て、新たなソフトを購入させる画面は広告に過ぎない

・日本語で問い合わせができる窓口が無ければ避けるのが無難。複数のソフトを比較検討して購入を検討する

・パソコンの危険な状態を回避するために、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口のホームページで情報収集をする

・クレジットカード番号の入力前に料金や有効期間(契約更新の有無)などを確認する

・何かトラブルに遭遇したら消費生活センターに相談

などの対策を呈している。

今件指摘されているような初心者の錯誤を容易に誘導する、詐称と指摘されても否定が難しい広告の展開は、他の通常な広告も含めた広告全体への不信感をあおり、配信している広告サービスや関連するソフト全体への信頼性を失墜させる。「これ位すぐに嘘だと分かるだろう」との反論もあるが、それは実情を知った上での反応でしかない。初心者にはそれすら分からないのが実情。また昨今ではスマートフォンにおける類似広告も確認されており、今後早急な対応が関連各方面に求められる。

「5億円の消費税給付金が当選」は詐欺・財務省が注意喚起

続いては4月18日に財務省が行った注意喚起(消費税増税対策の給付金が当選したとのメールにご注意ください)。4月からの消費税率改定に伴い、「臨時福祉給付金」「子育て世帯臨時特例給付金」「すまい給付金」の給付制度が実施されているが、これに便乗する形で、詐称メールが流されているという事案。具体的には官公庁の名をかたり、消費税率引上げの景気対策の一環として、「高額給付金の抽選による配布」が行われているとし(今件発表内容では5億円)、その給付を行うための銀行口座など、個人情報を求める詐称内容を持つ電子メールが送付されるものである。

財務省側では、官公庁においては消費税増税対策の給付金を抽選により給付するということはなく、また電子メールでの個人情報の問い合わせも当然ないとして、今件のような注意を呼びかけることとなった。

財務省の名を使った詐称問題では、これ以外にも同省の名前などを不正に使った団体によるダイレクトメール、財務局や財務省主税局職員をかたる不審電話、架空証書を用いた詐欺行為、偽造した財務局の印章を用いた文書による詐欺行為などの事案があり、いずれにおいても注意喚起がなされている。

仕組みとしては「振り込め詐欺」や「ロト6詐欺」などと同様で、世間一般に話題として登っている話を巧みに使い本物らしさを装い、誘惑をするというもの。よくあるパターンの詐称における、消費税率引上げに便乗した形、「消費税便乗詐欺」と表現できる。また今件のような事例に遭遇した際に、仮に「そんな話は初耳」とい反応しても、「極秘裏に行われている」「当選が暴露されると騒ぎになるので内密に」といった形で「あなただけ」「特別に」と切り替えし、優越感を悪用する可能性もある。いずれにせよ、くれぐれも注意してほしい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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