白や青から灰色・黒へ…色でわかる新社会人生活の実状
色はさまざまな状況や気配、心境を表すイメージ的表現の手段として使われる。活力のある場面では火を想起させる赤系統、冷淡さや沈静な状況には青、穏やかさや活き活きとした状況には自然を思わせる緑などが好例だ。そこで学生生活に別れを告げ、大人の世界に足を踏み入れた新社会人に、自分達のこれからの生活をどのようにイメージしているかについて、色で例えてもらい、その実情を推し量ることにした。
次のデータはソニー生命保険が2014年4月に発表した、新社会人に対する意識調査結果を元にしたもの。「今春就職する社会人1年生」「就職してから1年経過した社会人2年生」(いずれも20代)に対してそれぞれ尋ねたもの。まずは「今春就職する社会人1年生」を対象としたものだが、もっとも多くの人が答えた色は「白」だった。新たな環境に足を踏み入れ、真っ新な自分がこれから社会に染まっていくことを想像しているようだ。
第2位は「青/ブルー」。これは2通りの意図が考えられる。一つはさわやかさ、新鮮味などポジティブな意味合い、そしてもう一つは「ブルーな気分」的な落ち込んだ状況(社会人生活の厳しさに音を上げている、不安を覚えているのだろう)。後者の心境に近い色合いとして、「灰色/グレー」や「黒/真っ黒」が上位に入っており、これからの社会人生活への不安が色にもにじみ出ている。
社会人としての生活を1年間果たし、2年目に突入した社会人2年生に対して同じ問いを投げかけた結果が次のグラフだが、傾向は大きく変化を遂げている。
最上位は「灰色/グレー」。今にも雨が降ってきそうな、怪しい雲行きの中に自分が置かれている、精神的にも不安定な状態が強く出ている。第2位の「黒/真っ黒」と合わせ、少なくとも先行きが明るいようには思えない。
第3位にようやく「白」という、「まだまだ自分はこれから何色にも染まれる」というポジティブな色が登場する。しかし社会人1年生の時には108件でトップだったのと比べ、随分と後退している。
1年目と2年目の色合いの変化を見てみると、色的に一番目立ち明るさを見せる「虹色/レインボー」の順位後退に代表されるように、明るいイメージを持つ色の回答数が減少し、不安、失望的なネガティブな連想をさせる色の回答数が増えている。特に「黒/真っ黒」が2倍以上に増加しているのが印象的だ。
色は単純明快に、他人にアピールできる表現能力を有している。今件グラフからは、社会人生活の1年間の中で色々と気疲れをした、理想が現実に打ち砕かれていく新社会人たちの心境が容易に想像できる。
仮にあと数年経過させ、同じような問いをしたら、果たしていかなる結果が出るのだろうか。
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