若者に多い伊達マスク経験者とマスク依存症の実態
伊達マスク、全体では15%が経験あり
花粉除け、くしゃみなどで周囲に迷惑をかけないために、さらには口内が冷えないようになど、多用な目的を果たすため、マスクは欠かせない個人向け(公衆)衛生ツールとして活用されている。一方、それらの目的としてかける必要がない場面でも、一種のファッションとして、あるいは「仮面」のような使い方でマスクをかける事例がある。これ(行為そのものや行為対象者)を伊達眼鏡と同じ考え方で「伊達マスク」と呼んでいる。
インターワイヤードのDIMSDRIVEが2014年3月に発表した調査結果によれば、この「伊達マスク」という言葉を知っていた人は35.3%、内容をそれなりに知っている人に限れば15.2%に留まっている。まだ伊達眼鏡ほどメジャーな言い回しでは無いようだ。
ではこの「伊達マスク」の経験がある人はどれほどなのだろうか。全体では14.8%、属性別では若年層が男女ともに高い値を示している。
概して若年層ほど高く、歳を経るに連れて減少する傾向がある。また男性よりも女性の方が経験率は高く、20代以下では4割強が経験ありと答えている。女性が高い値を示しているのは、ファッション感覚でつけているのか、自らの外観を気にしている結果か、あるいは後述の「マスク依存症」的な面が強いと考えられる。特に女性は4割以上が「伊達マスク」経験者と答えており、異様なまでの高い比率が出ている。
マスク依存症とは? そして自認率は??
「伊達マスク」が常用となり、心理的にも物理的にも手放せない状態のことを「マスク依存症」と呼んでいる。自分の身体的なコンプレックスを隠すため、あるいは他人との会話が苦手、表現が下手などのような、他人との接触を恐れる原因となるウィークポイントを有しており、その部分をカバーするための心理的な壁・バリアー的な認識をマスク(を着用した状態)に与えているというもの。つまり心理的安寧を得るためのお守りのような存在だが、顔を隠す物理的な効用もあること、そして震災以降は特にマスク装着の状態が社会的に是認されるようになったため、よりハードルは低くなりつつある。
この「マスク依存症」に関し、自分はその症状に該当するとの認識を持つ人は全体で0.7%。属性別では20代女性がもっとも多く3.4%に達する結果が出た。
伊達マスク着用率同様、若年層ほど、そして男性より女性の方が高い値を示している。また今件では「マスク依存症であるか否か」のみでの選択だが、実際には「依存症かもしれない(程度に伊達マスクをしている)」、そして「自意識は無いものの実質的にマスク依存症である」との事例も想定される。こられが積み重なることで「伊達マスク経験率」の男女差・世代差に連動する形となったものと思われる。要は「伊達マスク」の装着の一部要因が深いものになると、「マスク依存症」足り得るという次第。
心理学には「仮面効果」なる言葉がある。これは他人に自分自身を認知・特定されないように変装し、あるいは不特定多数化することで、自分の本性が表れやすくなるというもの。匿名化もある意味似たようなものだろう。「マスク依存症」の要因である「自分が恥ずかしいと思っているところを隠したい」という願望も、それに通じるものがあるのかもしれない。
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