Yahoo!ニュース

米成人は46%が「ネットが無いと生きていけない」

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今の子供は生まれた時からネットの環境下で生活し、息つくようにアクセスしている

米成人の46%は「ネットが無いと死んでしまう」

今年はWorld Wide Webシステム(WWW)の仕組みが論文化されてから25周年を迎えることになる。今やインターネットは人々の生活から切り離せないほど、広く深く浸透し利用され、生活向上に役立てられている。それではインターネットはどれほどまでに浸透しているのか、手放せない存在と化しているのか、その実態を競合技術・製品と比較する形で、数字として確認できる調査結果が、アメリカの大手調査機関Pew Research Centerから2014年2月に発表された。

これはアメリカの成人男女における、各技術・製品の日常生活での必要度を示したもの。「その技術・製品が使えなくなる、無くなっても生きていけるか?」と問い、「非常に困難、不可能」、いわば「無いと死んでしまう」と回答した人の割合を示したもの。

↑ 対象技術を手放すのはほとんど無理(2014年1月、アメリカ)
↑ 対象技術を手放すのはほとんど無理(2014年1月、アメリカ)

挙げられた項目の中でもっとも重要視された、手放せないと評価されたのは「インターネット」で46%。アメリカの成人の約半数は「インターネットが無いと暮らしていけない」と自認している。ほぼ同率で「携帯電話(スマートフォン含む)」が並び、今のアメリカでは、インターネットと携帯電話は空気や水のように、欠かせない存在となっているのが分かる。

印象深いのは一般世帯向けの娯楽製品として認知度が高く、インターネットよりもはるかに長い歴史を誇る「テレビ」の回答率が35%に留まっていること。2/3近い人は「テレビが無くなっても生きていけないほど辛いわけではない」と考えている。日常生活における「テレビ」の立ち位置はその程度ということ。

「テレビ」同様に時代の流れを感じるのが「固定電話」。アメリカは日本に先行する形で固定電話の需要減・携帯電話の需要増の動きが進んでいるが(「固定電話のみ世帯は7%、携帯だけは38%…米電話普及率推移(2014年)(最新)」)、「固定電話が無いと非常に困る、生活を維持できない」とする意見は17%でしかない。日常生活で「電話」を意味する対象が、固定から携帯へと変化している証でもある。

時代と共に移り変わる「手放せない物」

これらの動向を不定期ながらも経年で確認したのが次のグラフ。数字は「各年の調査対象母集団全体」では無く、「各技術・製品の利用者限定による回答率」であることに注意が必要。例えば2002年3月の「固定電話」は60%だが、これは米成人全体ではなく、米成人のうち固定電話を持つ人の60%が「無いと生きていけない」と答えていることになる。浸透度そのものというよりは、利用者における熱中度合、中毒度の推移と説明した方が適切かもしれない。

↑ 対象技術を手放すのはほとんど無理(アメリカ、各技術利用者限定)
↑ 対象技術を手放すのはほとんど無理(アメリカ、各技術利用者限定)

「インターネット」の利用者における必要性はますます増加し、「固定電話」は減少する一方にある。娯楽の観点で「インターネット」と比較されやすい「テレビ」は2006年から2007年の時点で没頭度合いは頭打ちとなり、直近の2014年ではむしろ減少している。

もっとも「インターネット」が大きな伸びを示しているのは、他の技術・製品と異なり、仕事との関連性が深いのが大きな要因でもある。「テレビ」や「携帯電話」は万一無くなったとしても仕事が出来なくなるわけではないが、「インターネット」は使えなくなることで仕事が出来なくなるので、手放せない存在との回答になるとの人が多数を示していると、調査資料では説明されている。「生きていけない、手放せない」は、多分に「仕事が出来なくなる」をも意味しているというわけだ。

同様の主旨を持つ調査結果が先日デジタルアーツから「未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査」として発表されたが、それによれば「携帯電話・スマートフォンの無い生活は考えられない」という人は5割強に達している。

↑ 携帯・スマホの無い生活が考えられるか(考えられない人の割合)
↑ 携帯・スマホの無い生活が考えられるか(考えられない人の割合)

ここでの携帯電話・スマートフォンは実質的に「インターネット環境を有する携帯電話」を意味する。日本で(パソコン経由も含めた)インターネットを対象として質問すれば、あるいはもう少し高い値が出るのではないだろうか。

■関連記事:

世界全体の固定・携帯電話普及率をグラフ化してみる

ナルホド納得、大学生の自由時間の過ごし方トップは「インターネット閲覧」

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事