各国で進むスマホシフト、立ち遅れる日本
各国で進むスマホシフト、一歩遅れる日本
現在携帯電話市場では猛烈な勢いで旧来型の携帯電話からスマートフォンへのシフトが進んでいる。2013年は初めてスマホが普通の携帯以上に売れた年にで解説した通り、2013年にははじめてスマートフォンが一般携帯電話(ガラケー、フィーチャーフォン)以上に売れた年となった。それでは現在主要国において、スマートフォンは携帯電話全体に対して、どこまで浸透しているのだろうか。イギリスの情報通信省が2013年に発表した通信白書「International Communications Market Report 2013」のデータを基に、確認していくことにする。
次のグラフは携帯電話保有者に占める、スマートフォン所有者の割合。回答者全体比では無い。例えばスペインなら2013年8月は75%とあるが、これは13歳以上の携帯電話保有者の3/4はスマートフォン持ちということになる。
大よそどの国も6割から7割がスマートフォン持ち。そしてこの1年で10%ポイントもの上昇が確認できる。新規にスマートフォンを買った人、これまで一般携帯電話を持っていた人のスマートフォンへの買い替え、双方合わせてここまでシフトが進んでいる。
他方日本はといえば、1年間における普及進行度合いは他国と変わりないものの、絶対値が極めて低い。30%ポイントほどの差が出ている。この傾向について白書側では「日本は一般携帯電話の機能が高く、いわゆるマルチメディアフォンとして使われている。それゆえにスマートフォンへの切り替えが遅れている」と説明している。
日本の一般携帯電話≒マルチメディアフォンは、事実上スマートフォンと同じではないかとする見方もあるが、OSやタッチパネルの機能面などで、やはりスマートフォンとして仕切るのには難がある。つまり日本は一般携帯電話全盛時には技術的に進歩した端末が普及したため、逆に次のステップとなるスマートフォンでは後れを見せてしまったことになる。諸外国が急行列車(一般携帯電話→スマートフォン)なら、日本は各駅停車(一般携帯電話→マルチメディアフォン→スマートフォン)という次第。
スマホのOSは国それぞれ
次に示すのは、スマートフォン利用者における、その端末のOSの区分。
どの国もAndroidが過半数。次いでiOS(Apple)が続いている。イタリアでは唯一iOSよりもSymbianの方がシェアが高く、Windowsも健闘している。また一部で「日本は異様なまでにiOSの浸透率が高い」と言われている件だが、この値を見る限り、むしろアメリカの方がiOS利用者率は高い。ただしそれ以外のOSの利用者がほとんど無く、日本がiOSとAndroidによる寡占状態にあることに違いは無い。
iOSの利用率がもっとも低いのはスペイン。Androidが72%に達しており、日本やアメリカと比べれば信じられないような状態ではある。
日本は一般携帯電話の普及動向とそのスペックから、スマートフォンにおいては他国とはやや異なる流れでの普及状況にある。今件調査でもまだ4割にすら届いていない。もっとも昨今の各種調査によれば、ようやく4割から5割に達している感はある。新商品のほとんどがスマートフォンで、若年層がメインとなる新規購入者や、一般携帯電話を使っていた買替希望者の多くが新商品のスマホを買い求めるのだから、当然といえばそれまでの話。
このペース、状況ならば、今後2、3年のうちに日本も他国の値に追いつくことになるだろう。
■関連記事: