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「配送料無料」は世界共通の願い

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 米アマゾンにも配送料無料サービスは実在する。35ドル以上の購入が前提

オンラインショッピング(インターネットを用いた通信販売)を利用する際に、多種多様なサービスが提供されることはすでに多くの人がご存知の通り。配送料無料、ラッピングサービス、配達日指定、超速配達などなど……インターネット経由で買い物が出来るだけでも、昔と比べたら便利なことこの上ないが、人の欲望は尽きるところを知らず、一つ満足すると他の不満が気になって仕方なくなってくる。

そこで「次のようなサービスが用意されていれば、オンラインショッピングでの買物を後押しすることになるかもしれない」とするものに応えてもらった結果が次のグラフ。例えば日本では「より速い配送」で34%との値が出ているので、日本では1/3強の人が「通常よりも速く荷物が届くオプション(例えばアマゾンならば「お急ぎ便」や「当日お急ぎ便」)が用意されているのなら、そのサービスで商品購入をする動機づけになるだろう」と考えていることになる。なお、このデータはイギリス情報通信省が2013年12月12日付で公開した、諸外国における通信業界・メディア動向を分析した通信白書「International Communications Market Report 2013」からのものである。

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↑ オンラインショッピングを使う際、どのような配送サービスが影響しうるか(複数回答、オンラインショッピング経験者限定)
↑ オンラインショッピングを使う際、どのような配送サービスが影響しうるか(複数回答、オンラインショッピング経験者限定)

やはり「配送料無料」のパワーは絶大。今回調査対象となった8か国すべてにおいて、もっとも大きな影響力を示している。特に日本とフランスは80%台と高い値にある。日本では83%もの人が「配送料無料ならオンラインショッピングがし易い」と考えている。

次いで「配送料の安い選択肢を選べるサービス」「商品の配送状況を確認できる追跡サービス」「より高速な配送サービス」「配送日時指定」などが続く。「署名入りの配送」「配送会社指定」「会費料金制」などはあまり需要が無く、商品購入の際の意思決定にはさほど影響を与えない。

フランスでは低価格の配送料選択サービスよりも追跡サービスやより速い配送の方が需要が高い。これはオンラインショッピング全体に対する安全への信頼性が、フランスでは特に低いからだと推測される。

イタリアとスペインは他国と比べ、商品が確実に届くよう、セキュリティ、確実性を求めたサービスへの傾注度が高い。これは両国が不景気下にある関係でオンラインショッピングそのものがあまり行われていないことに加え、輸送の際の「トラブル」(中抜き、紛失)の危険性が心配されているからだと考えられる。速さよりも安心・確実性を重視せざるを得ない、見方を変えれば「安心・確実」が前提な状況に無いという現実を思い知らしめてくれる。

一方日本では追跡サービスに対する需要は高くない。国民性の問題か、インフラそのものに対する信頼の置き方の違いがあるのかもしれない。そして「配送料無料」が大人気。また、「配送日時指定」では他国と比べて特段高い値を示している。一人暮らしや兼業世帯が多いことが背景にあると考えれば、納得は出来よう。

ともあれ、オンラインショッピングにおいては「配送料無料」は最大の訴求ポイントとなる。日本に限っても主要ネット通販サービスが続々配送料無料を打ち出したのも、納得ができるというものだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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