病院の待ち時間対策、求められているサービスは?
「何分待ち」が分かるのが一番ありがたい
規模の大小を問わず病院では医者の数は限られている。そして診療は予約患者が優先され、診療が予定通りに済まないことも多い。予約をしていない人はもちろん、予約をしていても、診察を受ける時には時間の長短の差はあれど、待合場所などで待たされることになる。風邪の流行時など病院が多忙な際には、数時間の待ち時間も普通にありえる話。
そのような「病院で長時間待たされる場面」では、いかなるサービスが求められているだろうか。メディケア生命保険が2014年1月に発表した、過去1年間に通院経験のある人を対象に実施した調査結果によると、もっとも多くの人が同意を示したのは「何分待ちかが分かる」だった。
8割近い人が魅力を覚える、提供してほしいサービスとして挙げている。明確な待ち時間が分からずに、ただただ窓口そばの待合場所に待たされることの苦痛ぶりがあらためて認識できる。
第2位の「メールで順番を教えてくれる」も意図としてはほぼ同じ。要は「すぐに自分の順番が回ってくるから、待合室で待っていればよいのか。それとも時間がかかるので中座しても良いのか。離席できるのならどれ位の時間それが許されるのか、それを教えてほしい」ということ。無駄に時間を拘束されたくないからこその需要である。また多分に、何らかの身体のトラブルを抱えた上での待ち時間のため、一刻も早く診てもらいたいとの心境を有しており、それが待ち時間をさらに長く覚えさせてしまうのだろう。
離席せずにその場で待つ選択肢としては「スマホなどが使用可能なスペース」がもっとも多い。「WiFiスポット」などもほぼ同意で、手持ちのモバイル端末を使って時間をつぶす、あるいは他の用事を片づけたいとする意見である。医療施設ではモバイル端末の利用を禁止する事例が多く、待合場所での「すき間時間」潰しが封印されてしまう。このような意見が出てくるのも納得できる。
子供が居ると子供への配慮に重点が
これを「回答者に子供が居るか否か」出仕切り直して集計すると次の通りとなる。
大人と比べて子供は待つのが苦手。待ち時間の苦痛は大人と比べて桁違いなものとなる。そのためか、離席可能なサービスへの要望が高い値を示している。また待合場所に居る場合でも、子供が退屈にならないよう、絵本やおもちゃ、並びにそれらが置かれている空間を求める声が多い。小児科がある病院では子供向けの配慮は結構見受けられるが、今件調査による需要の高さを見れば、納得もできるというもの。
多種多様な事情があるにしても、患者の時間を無為に拘束するのは、あまり良い話ではない。せめて不快さを覚えない環境の整備と、離席する・しないいずれの選択肢にも対応できるシステムの整備が求められよう。
もっとも環境を整備しすぎて快適にすぎると、病院をリラクゼーション施設と勘違いする患者が来院するようになり、余計に混雑し、待ち時間が長くなるという悪循環のリスクが生じてしまうのが難点ではあるのだが。
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