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ダーウィンの進化論を信じているアメリカ人は1/3のみ

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「ダーウィンの進化論」で有名な人類の進化プロセス(Pew Research)

人類やその他生命体の進化の流れには諸説がある。過去に戻るすべは無く、歴史を刻む知識を持つ生命体による記録も無いので確証の取れた理論は無いが、現在ではダーウィンが提唱した「自然選択型」そして「遺伝子学的な突然変異体の登場」の2つの考えに基づく、融合的な進化論が科学的には有力。一方で信仰的・宗教的な観点から、人類などは創造主によって創生され、この世の始まりから今の姿かたちを維持しているとの考えも根強い支持がある。

米民間調査機関Pew Research Centerが2013年12月末に発表した、同国内における人間の進化についての考え方を調査した報告書によると、成人全体の1/3にあたる33%の人が進化論そのものに否定的だった。「この世の始まりから人は人の姿を、他の生物もそのままの姿をしていた」と答えている。

↑ 人類は昔からその姿かたちだったのか、それとも進化の結果今の姿かたちをしているのか
↑ 人類は昔からその姿かたちだったのか、それとも進化の結果今の姿かたちをしているのか

学歴別では高学歴、世代別では若年層のほど進化論には肯定的な意見を示している。宗教の観点では、聖書の記述への信奉を強調する「福音派」では2/3近い人が進化論否定派で占められているなど、少なくともアメリカでは「人の成り立ち」への考え方と「宗教・信仰」に深い関係があることが分かる。

一方「進化論」を肯定する人も、そのすべてが科学的な進化論を信じているわけではない。

↑ 「人類は進化の結果、今の姿かたちをしている」との回答者の具体的内容
↑ 「人類は進化の結果、今の姿かたちをしている」との回答者の具体的内容

遺伝子学的な要素も含む、自然環境に対応する形で進化したと結論付けている「科学的進化論」を肯定する人は53%。それに対して、至高なる存在(神的な存在)の導きで進化が成されたと考えている人は40%に達している。つまり調査対象母集団全体では、科学的進化論を信じている人は32%でしかない。概算的には人間の成り立ちについて、「科学的進化論者」「神的存在による進化論者」「非進化論者」がほぼ1/3ずつという形になる。

このような結果が生じたのは、信仰、宗教が進化論の受け止め方に大きな影響を及ぼしているのが大きな原因。そしてこれは、進化論だけに限った話では無く、多くの事柄において教育や信奉が、一人一人の物事のとらえ方に大きな影響を与えることの表れといえよう。

日本で同様の調査を実施した場合、どのような結果が出るのだろうか。興味深いところではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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