家賃の滞納はどの程度起きているのか
賃貸住宅住まいの人には、定期的、大抵は毎月家賃の支払いをする必要がある。昨今では自動的に金融機関の口座から引き落とすよう手続きがなされており、面倒な手間が省けるようになっている。ところが銀行口座残高の調整ミスで肝心の家賃の引き落としが出来ず、気がつけば家賃を滞納してしまうというトラブルもある。また、それ以外の事情で家賃を工面できず、滞納してしまうこともありえる。実際、賃貸住宅における家賃の滞納は、どの程度の比率で起きているのだろうか。
次のグラフは賃貸住宅の管理会社で構成されている協会「日本賃貸住宅管理協会」が年2回公開している「賃貸住宅景況感調査日管協短観」の最新版(2012年度下期)から各種データを取得して作成したもの。滞納区分を「(残高調整ミスによる偶発的滞納の可能性がある)月初全体の滞納率」「(ミスの可能性が排除された、意図的な)月末での1か月滞納率」「(意図的かつ状況が悪化した、連続した滞納状態の)月末での2か月以上滞納率」とし、それぞれについて滞納率を示したものである。
残高調整ミスは結構起き得る話のようだ。全体では7.4%も発生している。一か月間丸々の滞納、つまり「意図的な家賃滞納」となると3.0%、2か月連続して「家賃支払いの点でかなりの危険信号」レベルになると1.5%の域に達する。
「家賃2か月以上の滞納が1.5%」という状況は、「賃貸住宅の67軒に1軒は現在2か月以上家賃を滞納している」と表現できる。視点を変えて「通常支払い率98.5%」と表記すればそこそこ良い方に見える。
しかし管理会社側から見れば、リスクは低いに越したことは無い。また滞納額を考慮すると1.5%でも十分なハイリスクといえる。例えば5階建・13列(=65部屋)の大型団地なら、1戸あたりほぼ1世帯は2か月以上の家賃滞納世帯が存在する計算になるってしまう。さらに1か月ならともかく2か月以上の滞納ともなれば、滞納額はそのまま未回収になる可能性を多分に秘めている。滞納世帯とは別に、空き室(家賃そのものが発生しない。地域差、環境差が大きいが、賃貸用住宅では大体1割から2割近くとされている)も存在しうることを考えると、リスクは少しでも低いに越したことはない。
地域別では首都圏よりも関西圏の方が、滞納率は高くなるのが気になるところ。関西圏の方が「うっかりさん」が多いのだろうか。公開されているデータからだけでは真相、原因を突き止めることは叶わないが、地域によって家賃滞納率に違いが生じているのは興味深いところだ。
現在賃貸住宅に住んでいる人は、残高調整のミスで家賃が引き落とされない事態が起きないよう、くれぐれも注意してほしい。