#ゴルフ ライダーカップ開会式で賛否両論。足首が見える「スーツにノーソックス」の是非
2年に1度、開催されるゴルフの米欧対抗戦「ライダーカップ」は、9月29日から3日間、イタリア・ローマのマルコシモーネで開催されている。
1927年に創設されたライダーカップは、賞金ではなく国と大陸の名誉をかけて戦う伝統的な大会である。米国チームのメンバーも欧州チームのメンバーも「ライダーカップでチーム入りするために僕はゴルフをやってきた」「ライダーカップで勝つことは、自分がメジャー大会で優勝するより大事だ」と口を揃えるほどで、その熱気は尋常ではない。
そんな伝統的で大切なライダーカップの開会式では、キャプテンも5名の副キャプテンも12名のチームメンバーも、全員がフォーマルなスーツ姿で登場する。
壇上に勢揃いした姿は、そもそもがスター選手揃いということもあって、「俳優の集団みたい」「高そうなスーツは、どこのブランド?いくらぐらいだろう?」などと、人々から羨望の眼差しが向けられ、興味関心を惹き付けるものだ。
しかし、今年の米国チームのスーツ姿は賛否両論を呼び、開会式終了後も試合開始後も物議を醸している。
その理由は、全員がソックスを履いていないか、あるいは外からは見えないようなソックスを履いているかのどちらかで、一見、「ノーソックス」に見えたことにあった。座り姿勢のときはもちろんのこと、立ち姿勢のときでさえ、スーツのパンツの裾の下から足首付近の素肌が見え隠れしていた。
賛成派の人々からは「かっこいい」「今どきのファッション」「決まってる」「若々しい着こなし」といった賞賛の声が上がり、「ブルックス・ケプカによれば、足首を見せるのはクールなイタリアン・ファッションらしい」という声も聞こえてきた。
しかし、批判の声は賛成のそれを上回り、SNSで瞬く間に広がっていった。
「なんで?いつから、こんな変な格好になったんだ?」
「フォーマルなイベントでノーソックスは、ありえない」
「ソックスは文明の象徴なのに、、、それを履かないなんて」
「ノーソックスが似合うのはローファーのみだ」
「スーツのパンツとノーソックスがまったくマッチしていない」
「いい大人のパンツの下からアキレス腱が露出するなんて、あってはならない」
いざ試合が始まり、初日から米国チームの敗北続きの展開になると、ノーソックスへの批判の声は、一層激化した。
振り返れば、2021年の前回大会は米国チームが「19対9」で圧勝だった。しかし、イタリア開催の今年は米国チームにとってはアウェイ戦であり、米国チームによる敵地での勝利は1993年以降、一度もない。
だからこそ、アウェイでの30年ぶりの勝利を目論んでいた今年の米国チームは、開幕前から例年以上に気合いが入っていた。しかし、蓋を開けてみれば、初日から欧州チームの圧勝が続き、2日目が終わった現時点でも「10.5対5.5」で欧州チームが圧倒的優位にある。
米国のゴルフファンにしてみれば、そのもどかしさをノーソックスへの批判に変えてしまった面があるのかもしれないが、ともあれ、選手たちの足首にまで人々の視線が集まり、ノーソックスの是非が取り沙汰されるほど、ゴルフファンがライダーカップに寄せる想いは熱く深いことの表れなのかもしれない。
それにしても、「たかがソックス、されどソックス」である。
エチケットやマナーを重んじる英国ゴルフ界では、男性ゴルファーが短パンでプレーする際は「ハイソックス着用」としており、日本でもこの規定を採用しているゴルフクラブは少なくない。ただし、近年は男性のハイソックス姿は「時代に即していない」といった声も上がっており、「くるぶしが隠れるソックスならOK」という具合に規定が緩和される傾向もみられる。
そんな折り、海の向こうで繰り広げられているライダーカップという、オフィシャルでトラディショナルな舞台で「スーツにノーソックス」はマナー違反なのか?格好いいのか、悪いのか?
ゴルファーにも、ノンゴルファーにも、秋の夜長に、しばし考えていただきたいテーマだ。