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リブゴルフへ移籍した全英オープン覇者ステンソン、母国スウェーデンのゴルフ界から「絶縁」された!

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:REX/アフロ)

 スウェーデンのゴルフをつかさどる「SGF(スウェディッシュ・ゴルフ・フェデレーション)」が、同国を代表するゴルファー、ヘンリック・ステンソンと「絶縁」することを決めたという。SGFの事務総長を務めるガナー・ハカンソン氏が同国の通信社TTに語り、英国のゴルフ・マンスリー誌が報じた。

 「もはやヘンリック・ステンソンは、スウェーデンのジュニア・ゴルファーのロールモデルにはなりえない。SGFはステンソンとの関係を絶つ」

 ステンソンは46歳のスウェーデン出身選手。2016年全英オープンを制覇するなど、世界25勝を挙げてきた実力者。豊富な経験が高く評価され、2023年ライダーカップの欧州キャプテンに選出されていた。

 2022年3月にキャプテンに就任した際、ステンソンは感涙を抑えられないほど高揚していた。

 「ゴルフを始めたときから、ライダーカップのキャプテンになることを夢見てきた。それは夢のまた夢というほど大きな夢だった。その夢がとうとう叶った。感無量だ。ヨーロッパのゴルフ界のレジェンド、セベ・バレステロスの足跡をたどり、立派にキャプテンを務め上げたい」

 リブゴルフが創設された今年6月以降、ステンソンがリブゴルフへ移籍するという噂が浮上。周囲からは「まさか、ステンソンがライダーカップのキャプテンを投げ出してリブゴルフへ移ることは、さすがにできないだろうし、ありえない」と見られていた。

 しかし、7月2日、ステンソンはその重要な責務をあっさり放棄して、リブゴルフへ移籍することを発表。米欧ゴルフ界が「ブレイキングニュース」扱いで報じるほどの仰天の出来事だった。

 正式に移籍したステンソンは7月末に米ニュージャージー州で開催されたリブゴルフの第3戦に出場し、いきなり優勝して400万ドル(約5億7300万円)の優勝賞金と、さらにチーム戦の賞金も獲得。満面の笑顔を輝かせていた。

 そんなステンソンの一連の言動に対し、SGFは厳しい視線を向け、ともに歩むことを拒絶する姿勢を打ち出した。

 もはや、ステンソンがスウェーデン・ゴルフのアンバサダーとして、同国のジュニアゴルファーやゴルフファンの前に立つことはない。

 PGAツアーやDPワールドツアー以外のゴルフの機関・団体がリブゴルフ選手に対して拒否反応を明確に示したことは、公けにされている限りでは、これが初のケースと見られる。

 ステンソン自身、SNSでこの決定を確認したことを発表。

 「私とSGFの関係は、これで終了した」。

 リブゴルフが創設された結果、また1つ、ゴルフ・ヒストリーの大切な1ページが切り取られ、消滅した。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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