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米ツアーの「埋蔵金」は無尽蔵!?「これでもか!」というほどのビッグマネーが動く!

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

タイガー・ウッズがデビューした1996年以降、この25年間で米男子ツアーの賞金額は高額化の一途を辿ってきた。その成長は、ひとえに「ウッズ効果」だと言われてきた。

そのウッズは、今年2月の交通事故で右足に重傷を負って以来、リハビリ生活を続けており、ツアー競技からは遠ざかっている。だが、米ツアーの成長はいまなお右肩上がりだ。

米メディアによれば、数日前、「さらなるボーナス」や「さらなる賞金高額化」を内示するメモが米ツアー選手たちに配布されたそうで、その内容を知って大いに驚かされた。

まず「さらなるボーナス」の話。

米ツアー選手には、メンバーシップを維持するための義務試合数が課せられており、現在は年間15試合となっている。

15試合をこなせば、ツアーメンバーであり続けることができ、ツアーメンバーであれば、フェデックスカップのポイントレースに参加することができるほか、シーズンエンドにプレーヤー・オブ・ザ・イヤーを選出したり、ツアーとしての決めごとに選手として参加する際の投票権が維持できる。

今回のメモによれば、今後は、この15試合をクリアすれば、「プレー15ボーナス」なる報奨金がもらえることになるそうで、そのボーナスは一律5万ドル(約550万円)だという。

5万ドルという金額そのものは、米ツアーの賞金等々と比較すれば、仰天するほどの大金ではない。だが、米ツアー選手たちには、すでにレギュラーシーズン終了時にも、プレーオフ・シリーズ終了時にも高額のボーナスが支払われている。年間王者に授けられるボーナスは、かつては「夢の10ミリオン(1000万ドル)」だったものが、今では「夢の15ミリオン(1500万ドル)」に引き上げられ、王者に次ぐ2位以下にも、順次、ビッグボーナスが支給されている。

それらに加えて、さらに5万ドルが支払われるのだ。しかも、義務試合数をこなしさえすれば、それだけでボーナスがもらえるのだから、世界中のどのツアー選手から見ても、まさに垂涎ものだ。

さらに驚かされたのは「さらなる賞金高額化」の話だ。

米ツアーのフラッグシップ大会であるプレーヤーズ選手権は来年から賞金総額が15ミリオン(1500万ドル)から20ミリオン(2000万ドル)へ、一気に5ミリオンも引き上げられ、優勝賞金は2.7ミリオンから3.6ミリオン(360万ドル=約3億9600万円)に大幅アップされるという。優勝すれば、ほぼ4億円。言うまでもなく史上最高の数字だ。

さらに、前年のツアー大会優勝者だけが出場する年初のセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンも賞金総額が6.7ミリオン(670万ドル)から8ミリオン(800万ドル)へ引き上げられ、優勝賞金は1.44ミリオン(144万ドル)になる。

こうした高額賞金とさまざまなボーナス、そしてツアーメンバー10年以上の選手には高価な年金も支給されるのだから、米ツアー選手にとって何よりのモチベーションは「お金かな」と思いたくなる。

ちなみに、米ツアーで一度も優勝したことがなくても、生涯で10ミリオン以上を稼いでいる選手が10人もいるというのだから、これまた驚かされる。

平たく言えば、「勝てなくても、有名にならなくても、人気が出なくても、米ツアー選手であり続ければ、夢のような大金を稼ぐことができる」ということになる。

こうしたビッグマネーは、選手たちを発奮させるためのインセンティブであることは間違いなく、仮に米ツアーの向こうを張って新たなツアーが創設されたとしても、選手たちを米ツアーに留まらせるための策を今から打ち出しているとも言える。

昔から米ツアーには巨額の埋蔵金が隠されていると言われているが、それが本当だとしても、無尽蔵ではないはずで、こうしたお金は、一体どこから湧き出してくるのだろうかと首を傾げたくなるほどのビッグニュースだ。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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