復帰より自叙伝出版が先!? 全米オープンも「ウッズの大会」も欠場を決めたタイガー・ウッズのこれから
【今季復帰の望みが萎んだ】
長期戦線離脱からの復帰が期待されていたタイガー・ウッズが、全米オープンとその翌週のクイッケンローンズ・ナショナルを欠場すると発表した。
7月7日、火曜日。ウッズがまずツイッター、続いてウッズ自身のウエブサイトで「戦うための肉体的な準備がまだ整っていない」と伝えると、そのニュースは瞬く間に全米へ、世界へと報じられた。
今年4月のマスターズで復帰が期待されていたものの、その期待に応えることができなかったウッズは、その直後に6月の全米オープンへのエントリー手続きを行なった。
そのため、米メディアはウッズが全米オープンで戦線復帰し、その翌週は自らが大会ホストを務めるクイッケンローンズ・ナショナルにも出場するつもりなのかもしれないという見通しを立て、そうであれば、全米オープン以前に米ツアーの大会に出てウォーミングアップをするはずだという具合に、ウッズ復帰の青写真を描いていった。
しかし、ウォーミングアップのための大会の候補とされていた5月のプレーヤーズ選手権にも6月上旬のメモリアル・トーナメントにもウッズは出場せず、来たる全米オープンにもクイッケンローンズ・ナショナルにも出場しないことになった。
この事実は、ウッズの今季復帰の望みが一気に萎んでしまったことを示唆している。
【ゴルフが戦えるレベルにない!?】
トッププレーヤーたちはメジャー大会やビッグ大会が目白押しとなるこれからが今季の正念場となる。来週の全米オープンが終われば、1週おいて世界選手権シリーズのブリヂストン招待を迎える。7月は全英オープンと全米プロのメジャー2試合を続けざまに戦い、8月はリオ五輪、その直後にはプレーオフシリーズへ突入していく。
しかし、長期欠場によって、すべてのランキングが後退しているウッズは、ブリヂストン招待の出場資格を満たしておらず、全英オープンや全米プロのメジャー大会でいきなり復帰するとも考えにくい。リオ五輪も代表候補にはほど遠く、米ツアーのプレーオフ出場も、もはや叶わない。
その合間に米ツアーの小さめの大会が数試合あるにはあるが、その後に続く特別な目標でもない限り、今のウッズがあえて小さな大会に出る意味はない。
そう考えると、今回の全米オープンとクイッケンローンズ欠場の発表は、ウッズの今季復帰がほぼ無くなったことを示唆していると考えられる。
手術後の腰の状態は、それほどまでに悪いのかと言えば、4月にはジュニアの大会で300ヤード超のビッグドライブを豪快に放って見せているのだから、肉体そのものは、ある程度まで回復していると考えられる。
しかし、5月にはクイッケンローンズのメディアデーに参加したウッズが短いパー3で池が越えられず、周囲の関係者がみな凍りつきながらウッズのシャンクを見守るという出来事もあった。
「戦うための肉体的な準備がまだ整っていない」というのは、腰の回復や痛みの具合というより、ゴルフそのものの調子が戦えるレベルには無いという意味に受け取れる。
【復帰は叶わない今、自叙伝を出版!】
戦えない間、ウッズは何をして過ごしているのか。今春は自らが設計したゴルフ場がオープンしたばかり。次なるゴルフ場の候補地の視察にも余念がないウッズだが、今度は自叙伝の出版に意欲を燃やしている。
すでに米国の作家を書き手に立て、ウッズが語り、作家が書くというスタイルで本の制作は進行中であることを、これまたウッズ自身が自ら明かした。
この本は、ウッズがメジャー初優勝を遂げた1997年マスターズを振り返るという内容。
「あのマスターズはいろんな意味で僕の人生で最も大切な大会だった」とは、ウッズの言。
プロ入り2年目、21歳の若さで、2位に12打差をつけてマスターズを圧勝したあのとき以後、米ゴルフ界も世界のゴルフ界も「タイガー・ウッズ対策」と称してコースを伸長し、新しいギアを開発し、コースセッティングに工夫を凝らし、この20年でゴルフ界はすっかり様変わりした。
そんなゴルフヒストリーの変遷も記され、さらには亡き父アールとウッズの秘話も明かされるこの本は、2001年に出版された「How I Play Golf」以来、ウッズの2冊目の自叙伝として出版される予定だそうだ。
自叙伝の出版と戦線復帰、果たして、どちらかが先になるのだろうか。