スポンジに残った泡、雑菌のエサに 見過ごされがちな梅雨の掃除ポイントを解説
梅雨は雨季の一種。しとしと降るのみならず、時に台風と見紛うほどの強い雨にもなります。その降雨量は年間降水量の4〜5分の1もになるほどですから、私たちの住まいに及ぼす影響が小からぬことも道理です。
それゆえ梅雨の最中ならではの注意ポイントが幾つかあります。基本的なことではありますが、怠くなりがちかつ忙しい毎日ではとかく見過ごされがちな部分ですから、この機会にぜひ気をつけてみてください。
⒈寝具類
肌寒いようでいて寝汗をかいてしまうような梅雨。就寝中に、私たちは180mlから500mlもの汗をかくといわれますが、その汗の水分の多くは身体の直接触れているふとんやベッドといった寝具に吸収されます。
外気の影響で室内の湿度もすぐ70、80%と上がってしまう、この湿った空気の部屋にある湿った寝具。そして私たちの身体から日々出る皮脂や垢。空気中に漂っているハウスダスト(カビ胞子など含む)、諸々が相まったいやなにおい(細菌の代謝物)、黄ばみやしみ、黒い点々としたカビ、見えないけれどダニといったものが、発生し増えてしまうのが梅雨時期の寝具まわりです。
なかでも寝具にカビが生えてしまった場合、見た目が汚れるのみならずアレルギー性の体調不良がもたらされるリスクがあります。そもそもカビが生える状態はダニにとっても最適環境。
寝具類は可能な限り、定期的な洗濯と乾燥を心がけましょう。梅雨の晴れ間を狙ってのシーツや綿毛布などの洗濯、ふとんの天日干し(ベッドマットなどは立てかけての陰干し)を行うのがもっとも低コストかつ効果の高いケア方法になります。
ただ、不順な天候が続き、多忙などでなかなか難しい場合には、エアコン(冷房)をかけた部屋でふとんの部屋干し(設定温度をできるだけ低くし、部屋の空気を冷やして乾燥させます)をするのがおすすめです。もしふとん乾燥機があるなら温めず送風での乾燥をこまめに行いましょう。また、大型のコインランドリーを活用し、ふとんを丸ごと洗濯乾燥してもよいでしょう。
⒉スポンジ類
洗剤と水を含ませ、泡立てて使用するスポンジ状の掃除道具は、どんな家庭でも見られるありふれたものですが、梅雨時、これらのスポンジの多くは雑菌の巣窟と化します。
キッチンの食器洗いスポンジからは、便座上の20万倍もの雑菌が検出されたという報告もあるほど侮れません。雑菌は汚れや泡などのエサ、水、高めの気温により活性化しますので、この要素を完全に消去できない湿度の高い梅雨から夏にかけては、これらスポンジ全般の交換(買い替え)頻度を高めることで雑菌による悪影響を抑えたいところです。
ちなみにキッチンで約2〜4週に一度、浴室で4〜8週に一度くらいが交換の目安になりますが、スポンジ使用毎にしっかり泡成分を濯ぎ切って絞り、乾燥を促すことが状態維持の基本です。
誤解されがちなのですが洗剤成分(界面活性剤)そのものには通常除菌効果はありません。中途半端に洗剤成分を残しておくとかえって雑菌のエサになり、ヌルヌルや悪臭が増してしまうので注意してください。また普通のスポンジには煮沸消毒に耐える耐熱性はありません。世の中には「レンチン(除菌?)」するというライフハックもあるようですが、くさいスポンジを電子レンジにかけるのは個人的におすすめできません。
⒊〜立て類
水気のあるものを立てて水切りし保管する場所が住まいには何か所かあるものです。例としては箸立て、歯ブラシ立て、傘立て、トイレブラシ立てなどですが、これらもおしなべて梅雨時に多く汚染されやすい要注意ポイントです。気温と湿度の上昇により、うっかりしていると急激に状態が悪くなるので気になったらすぐに確認してみてください。
黄色やピンク色のヌルヌルが付いている場合には細菌が繁殖しているしるしですし、黒くなっている場合にはカビが生えてしまっています。
こういった〜立て類は、定期的に溜まった水を抜き、中のものを乾燥させることが必要です。傘立て、トイレブラシ立てなどでは難しいですが、「〜立て」そのものをこまめに洗うことができればそれに越したことはありません。
洗いにくい箇所の場合には、内部の水分をぼろ布などで取り去り、消毒用エタノールなどを吹き付けることで除菌を兼ねた掃除を行いましょう。傘立てなどは晴れた日には傘を抜き(傘は開いて干します)、天日に当てておくのもカビ予防になりますし、傘そのものをサビさせたり、カビさせたりすることを防ぐ上でも効果的です。