Yahoo!ニュース

室内に入り込んだ花粉、トイレも要注意 まめに掃除したほうが良い場所を解説

藤原千秋ライター、住生活ジャーナリスト
(提供:Hisa_Nishiya/イメージマート)

今年の花粉は去年の倍?

2021年の花粉飛散量は例年よりは少なめ。しかし昨年比でいえば200%にも及ぶ地域が広がっているようす(日本気象協会 https://tenki.jp/pollen/expectation/)。なかなか気の抜けない春模様のようです。

スギなどの花粉によるアレルギー症状、いわゆる花粉症は、ボーッとしたり喉がイガイガしたりとコロナ禍での心配ごとと重なる部分も多く、果たしてどのように対処すべきかと悩ましく思われている方も少なくないのではないかと思います。

今回はそんな花粉対策の基本と、具体的な掃除方法をご説明したいと思います。

写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

花粉は「入れない」「溜めない」「すぐに出す」

とはいえ似たようなアレルギー症状を引き起こすカビやダニなどと花粉とは、決定的に異なる点が一つあり、そこが花粉対策のキモとなります。それは「すべての花粉は家の外から入ってくるもの」だということです。

花粉は、カビ、ダニのように家の中で勝手に繁殖して増えたりはしません。ですからとにかく「家の中に入れる」量を絞ることが肝要で、次にできるだけ早期に家から「出す」。家の中で長々と滞らせないようにしましょう。

どのようにして花粉が家の中、室内に入り込むのかというと、およそその6割が窓や換気口から、3割強が干した布団や洗濯物から入り、残りが外出した私たち自身の衣服や頭髪に付着したものだといわれています。とはいえ全く換気をしない、洗濯物を干さない、外出しないわけにもいきません。入ってしまった花粉は、積極的に「出して」いくほかないというわけです。

スミノクさんによる写真ACからの写真
スミノクさんによる写真ACからの写真

花粉と付き合う生活のコツ

窓から花粉が入ってきてしまうとはいえ、換気の重要性が叫ばれている昨今。花粉に注意しながら換気をするには、なるべく花粉飛散の少ない明け方から午前10時くらいまでの間に窓を開けての自然換気を行うことが大切です。

また、近年の住宅に必ずと言っていいほど設置されている24時間換気システムのスイッチも切ってはいけません。ただ、これを稼働させる際に各部屋の吸気口に花粉をキャッチするフィルターを備え付けることで、入る花粉を減らすことができます。

後付けできる吸気口フィルターはホームセンターなどで取り扱われています。自宅の吸気口のサイズに合ったものを取り入れるといいでしょう。また、風向きによって風が入ってくる方向にある窓の側で空気清浄機を稼働させ、できるだけ「入る」花粉をそこで減らすという方法もあります(※)。

 longlonglongさんによる写真ACからの写真
longlonglongさんによる写真ACからの写真

布団や洗濯物を屋外に干し、よく乾く昼間の時間帯は花粉飛散もまたピークとなるため、これらの外干しはできる限り避けたほうが良いでしょう。浴室乾燥機、洗濯乾燥機、布団乾燥機、エアサーキュレーター、除湿機などの家電をこの時期は駆使したいところです。また一度に20キロ以上もの大量の洗濯物を洗濯乾燥できるコインランドリーの活用も、この時期は検討に値するのではないでしょうか。

外出の前にはコートなどの上着のほか、こすれて静電気の発生するズボン等の膝下にも「静電気防止スプレー」を噴霧するなどし、パチパチする静電気により、屋外の花粉が引き寄せられにくくなるようにしたいものです。外での活動時間の長い子どもは特に花粉をたくさん付着させていると考えられるので、症状の強い家族などがいる場合には帰宅後はリビングなどに行かせず、すぐにお風呂に入れるような習慣にしたほうが安心です。

ググオさんによる写真ACからの写真
ググオさんによる写真ACからの写真

花粉の上手な掃除法

家の中に入り込んだ花粉は、おおむね「ホコリ」と同じようなふるまいかたをします。つまり空気中に漂ったり、時間が経つと床や棚などに落下して積もるわけで「ホコリ」を減らす掃除を心がけることが花粉対策になります。

ところでホコリ対策というと、リビングなどのそれを思い浮べる方が多いのではと思いますが、ここはまずトイレに着目してください。トイレでは用を足すため、日に幾度となく衣類を着脱します。その都度、トイレ床には衣類由来の繊維ホコリに混じり、外出時などに付着した下半身の花粉も落ちるためです。

衣類の着脱という点では当然ですが洗面脱衣所の床ホコリも軽視できませんし、上着などをかけることの多い玄関先も同様です。これら花粉の多いホコリが他の部屋に移動してしまわぬよう、これらの箇所の掃除はなるべくこまめに行うことを意識しておきましょう。

MOMO太郎さんによる写真ACからの写真
MOMO太郎さんによる写真ACからの写真

部屋の空気中を漂う微細な花粉を床に落とす意味では加湿も有効です。カビやダニを増やしかねないのでやりすぎは禁物ですが、相対湿度50〜60%を目安に加湿し、ホコリとして床に落とし、すみやかに吸引ないしは拭き取るようにしましょう。掃除機は排気が床に向かわない(ホコリを舞い上げない)スティックタイプ、拭き取りには使い捨てのフローリングシートがお勧めです。

※Dyson花粉対策勉強会 槇村教授資料(2021)

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

ライター、住生活ジャーナリスト

「家のなか」の事をテーマにウェブ、雑誌、新聞等で執筆。大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAboutガイド。主な著・監修書に『人生が整う 家事の習慣』(西東社)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!』(オレンジページ)、『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)等。2020年1月より東京中日新聞にてコラム『住箱のスミ』連載中。

藤原千秋の最近の記事