冬のニット、どう洗う?その方法と目的を解説 「洗濯機洗い可能」表示でも注意

ニット(写真:アフロ)

 つい先日まで半袖の服を着ていた気がするのに、もうめっきり寒くてしかたがない今日この頃です。慌てて去年の秋冬物の衣類にアクセスして、もこもこと着込み出したという方も少なくないのではないでしょうか。

 さてこのあたたかな秋冬もののニット類。日々ヘビロテしながら気になるのが「どのタイミングで洗えばいいの?」「どう洗うのが正解なの?」ということ。

 今回は、知っているようで意外と知らない、そんな秋冬物の衣類、ニットのケア、洗い方などについてご説明したいと思います。

「ニット」と「セータ」ーって違うの?

ななほしてんとうさんによる写真ACからの写真
ななほしてんとうさんによる写真ACからの写真

 まずは基本のおさらいから。よく「秋冬セーター」とか「ふわもこニット」なんていう、あの「ニット」と「セーター」って、同じものなのでしょうか?違うものなのでしょうか?

 その答えは、ざっくりいえば、「セーター、すなわち、ニット」です。でも、「ニット=セーター」ではありません。

 「ニット」というのは、1本の糸をループ状にして、そのループを絡ませながらつないでいくことによって「1枚の生地」を構成したもののことを指します。なので「ニットのセーター」もありますが、「ニットのコート」もありますし、「ニットのマフラー」「ニットのストール」「ニットのタイツ」「ニットのシャツ」「ニットのスカート」…もあります。

 一方「セーター」というのは羊毛(ウール)等の糸で編まれた「かぶり式プルオーバー」を総称していいます。「セーター」の枠は狭いのです。なのでもしかすると私たちが身につけているのは「ニット」であっても、「セーター」ではないもの、のほうが多いのかもしれません。

そのニットの素材は何?

いおスタさん による写真ACからの写真
いおスタさん による写真ACからの写真

 このように身近なものでありながら、「縮んだ」「伸びた」「毛玉ができた」などの洗濯トラブルが少なからず生じがちなのがこの「ニット」類です。どうしてそういうことが起きるのかというと、およそ、そのニットの材質と洗濯方法が間違ってしまっていたためだと考えられます。

 「夏物のニット」が皆無なわけではありませんが、「ニット」には「ループ」の特性を生かした、ふんわりとしたテクスチャーの、秋冬など寒い季節に身につけたくなるものが多くみられます。そのため、材質も保温性の高い「毛(羊毛、カシミア、アンゴラなど)」などがメイン。その他「アクリル」、「ポリエステル」、一部「綿」、「麻」、また「シルキー長繊維(トリアセテートなど)」などといった様々な天然繊維、化学繊維が、文字通り織り交ぜられていることが多いです。

 「手編みのセーター」などではない、いわゆる工業製品であれば、ほとんどのニット製品には製造元などとともに材質や洗い方を示した「取扱い絵表示(ケアラベル)」が縫い付けられています。新JIS規格により、絵表示は比較的単純で実際的な表記に移り変わっています。ぜひその記号は読み取れるようになっておきましょう。

なぜ洗う?いつ洗う?どう洗う?

ゆきだるまさんによる写真ACからの写真
ゆきだるまさんによる写真ACからの写真

 ここで一度、私たちは「なぜ洗濯するのか(したいのか)」を、まず確認しておきましょう。

私たちが身につけるものは、必ず汚れます。大きく分けると、その汚れには「衣類の内側からつくもの」と、「衣類の外側からつくもの」があります。

 衣類の内側からつく汚れには汗、皮脂、垢、血液、その他私たち自身の身体からの分泌物や排泄物などがあります。一方、外側からつく汚れには泥、砂、ホコリ、煤、花粉、PM2.5、煤煙、カビ、ウイルス、油煙、タバコのヤニ、水、食べ物の何か、筆記用具の何か、またよだれや粗相(子どもやペットなどによる)もあります。

 こういった汚れを衣類に付着させたまま生活して、快適だ、という人はあまりいないでしょう。汚れ成分自体が酸化、腐敗(細菌繁殖)すれば悪臭も発しますし、虫が寄ってきたり、見た目にも不愉快なシミが浮き出たりもします。見た目もさることながら衛生的、健康的にも問題が生じるわけです。

 そのような問題を回避するために、私たちは「洗濯」をします。「洗濯」の主目的はここにあります。なんとなく1回着たから洗濯機にポイっとすればいいというものではないのです。

 ただ「いつ洗うか?」は個別の事情によります。「ニット」も、素肌の上に直接着用しているのか、肌着を着ての上なのか、その肌着も半袖か長袖かなどによって皮脂汚れ、汗汚れの付着の仕方も変わってきます。「カレーを浴びた」などでなければ外からの汚れもよほど溜まらないと汚れた感は薄いかもしれません。とはいえ目に見えない汚れが蓄積し続けるのも心配ということであれば、「3回着たら洗う」など、すっぱりと着用回数で割り切ってみるのも一手です。

 さて洗濯の方法には、大きく分けて2通りあります。「ウェットクリーニング」と「ドライクリーニング」です。私たちが家庭用洗濯機で行う水を使って汚れを落とす営みは「ウェットクリーニング」の一種です。一方、家庭ではできない、町のクリーニング店に持ち込んでやってもらえる、溶剤を用いて汚れを落とすやりかたが「ドライクリーニング」です。

 いずれにせよ「汚れを落とす、減らす」という目的がかなわなければ洗濯の意味はありませんが、汚れを落とす(減らす)際に衣類そのものに影響する(傷む)側面、また汚れ残りの可能性はつねにゼロではありません。汚れを落とす(減らす)メリットと、傷む可能性というデメリットを天秤にかけて洗濯の方法を選ぶ必要があるというわけです。

具体的な洗濯方法

 では、実際にいま手元にあるニットをどのようにケアしたらいいのかご説明していきましょう。

 1)「取扱い絵表示(ケアラベル)」を確認する

紺色らいおんさんによる写真ACからの写真
紺色らいおんさんによる写真ACからの写真

 ここで洗濯表示が「水洗い不可」になっていて、でも「ドライクリーニング可」になっていれば、家では手をつけずにクリーニング店に持ち込みましょう。ただ汚れてから持ち込むまで何もできないか、というと、なるべく汚れた服を湿気させないようにする(細菌を繁殖させない)、吸い取れるシミならできるだけ吸い取っておく(醤油をこぼしたような場合など)などの応急処置はしないよりしておいたほうが良いでしょう。

 衣類を持ち込んだ際には、とくに汚れの気になる箇所(脇汗など)についてはぜひ口頭で伝えておきましょう。汚れの種類によっては、ドライクリーニングでは落ちにくいのでウエットクリーニングを提案されることもあります。

 2)自宅で洗える場合~手洗い~

TicTacさんによる写真ACからの写真
TicTacさんによる写真ACからの写真

 取扱い絵表示で「水洗い可」(水の入った桶の絵に×がついていない)になっていれば、ぜひ自宅で洗ってみましょう。この桶に「手」の絵がある場合は「手」洗いのみ可能という意味になりますが、「桶に数字」が書いてある場合、その数字の水温以下での洗濯機洗濯も可能であるという意味です。洗濯機の水流、強度については、桶の下に描いてある横線の数が、多ければ多いほど弱い力で、という意味になります。

 「手洗い」をする際には、基本的に「おしゃれ着」用、衣類用「中性」洗剤を使います。「中性」であることが非常に大切なので軽視しないでください(通常の洗濯洗剤はほとんどが弱アルカリ性です)。

 この洗剤パッケージにある、手洗いの説明書きにある通りに希釈した洗剤液を作ります。水は常温の水道水でいいでしょう。衣類が浸せるサイズの「たらい」などがあると便利ですが、よく洗った洗面器でもかまいません。この洗剤液にニットを畳んだ状態でしっかり浸け、「押し洗い」をします。ぎゅうぎゅう押すのではなく、あくまで手のひらで優しく押し、かるく持ち上げる、を繰り返します。

 その後、綺麗な水道水に浸して2、3回濯ぎ洗い(同じように押し洗い)を行い、畳まれた状態で洗濯ネットに入れて10秒ほど洗濯機で脱水。その後、かたちを整えてシワを伸ばし、できれば平干し用の網、なければ厚手のハンガーにかけて風通しのいい日陰に干します。

 3)自宅で洗える場合~洗濯機洗い~

藤井志紀さん による写真ACからの写真
藤井志紀さん による写真ACからの写真

 「洗濯機洗濯」ができる場合には、ニットを畳んで洗濯ネットに入れ、その洗濯機の「ドライコース(厳密にはドライクリーニングができるわけではないのですがそう呼ばれることが多い。ソフト、手洗い、やわらか、デリケートコースなど呼び方はいろいろある)」で、衣類用「中性」洗剤を使って洗濯をします。

 よくニットでも「ウォッシャブル」「マシンウォッシュ可能」などと謳う製品があります。これを真に受けて、通常のガンガン行く洗濯モードと弱アルカリ性洗剤で洗ってしまって、伸びたり縮んだり毛玉ができたりということがあるようです(とても多い!)。

 しかしこの「洗濯機洗い可能」は、基本的に「洗濯機のドライコース等デリケート洗いを選び、おしゃれ着用中性洗剤を使って洗うことができる」という意味なのです。冒頭に書いた間違いの多いこの点、どうか次回からご注意を!