講義をサボり、合コンが「リアル」な大学生?マイクロソフトの新入生向けキャンペーンが残念な理由

日本マイクロソフトのサイトに掲載されている「Surface」の広告イメージ

日本マイクロソフトが春からの新大学生向けに「大学生に、ノートPCはいらない。」とのタイトルで「Surface」のキャンペーンを行っています。これは、講義をサボり、バイトや合コン、を楽しむ大学生ならスマホで十分かもしれないが、自分を成長させるにはPCが必要というメッセージで、大学教員にとって望むところ…と思いきや、ちょっと残念な展開なのです。

そもそも「大学生像」の前提が古すぎる

このキャンペーンで一番残念なのは、描かれる「大学生像」が古すぎることです。日本マイクロソフトのサイトに掲載された、オフライン広告のクリエイティブイメージではスマホ派の大学生がこう描かれています。

だって、講義をサボったところで、答えはネットにあがってる。出席も、SNSでお願いして友達に代返してもらえばいい。バイトを探す、合コンをセットする。旅行を計画する。ほら、スマホがあれば、大学生活は乗り越えられる。

出典:新大学生向けプロモーション「大学生にパソコンはいらない?Surface が贈るリアルなキャンパスライフ」開始!

これはある種の皮肉というかネタ広告でもあるわけですが、マジレスすると、まず、講義をサボると出席不足で単位が出ません。その理由は、以前下記の記事に書いた通りで、「レジャーランド」批判を受けて、シラバスが厳格化されたからです。

詳しくは記事を読んで頂きたいのですが、家庭からの仕送りが減り「貧しく」なり、出欠が厳格化され「授業が厳しく」なる中で、講義をさぼって、バイト、合コン、旅行、を楽しむ大学生は、一部のウェイ系学生を除いて「絶滅危惧種」になりつつあります。旅行や合コンどころではなく、バイト、授業、バイトという感じでしょう。理系は実験などもあるでしょうし、芸術系なら制作もあります。

古い「大学生像」を前提にすることは、「やっぱり大学生はヒマなんだな」というイメージを固定化し、真面目に取り組もうとしている大学生を苦しめることになります。

このような広告キャンペーンが展開されるということは、マイクロソフトの担当者やキャンペーンを企画した企業には、前提として大学が「パラダイス」だとか「レジャーランド」だと思っている方が、さぞかしたくさんいらっしゃるんでしょう。

そもそも、大学は勉強するところです

現役大学生の映像クリエイター清水良広さんが制作したキャンペーン動画は、なかなか「リアル」でカッコよく仕上がっていると思いますが…。

何故か、インターネットの情報をコピペしてレポートを書く大学生「コピペの匠」はパソコンを使っていたりするのですが、引用を適切に提示しないコピペレポートが見つかれば剽窃は単位取り消しなどの処分が行われますので、「これが大学生のリアルキャンパスライフだ」などと新入生の皆さんは信じないようにしてください。

この動画が残念なところは、「授業を受けたり、研究をしたりしているな」と思えるような出来になっていないところです。清水さんは美術大学に在学しているようなので、後半部分が授業や研究かもしれませんが、この動画を見ればクリエイティブな何かをして、「何者かになる」というイメージを持つ人が大半ではないでしょうか。

昔の大学は確かにそうだったかもしれません。授業は出ずに、アルバイトやサークルに打ち込んで「何かを見つける」。それは「レジャーランド」だからできたことです。大学は勉強することを社会から求められ、就活時に成績証明を求めたり、何を研究したかを書かせたり、する企業も増えています。

クリエイターになりたければ専門学校もあるだろうし、自分で切り開いてもいいでしょう、それだけの自由がいまの時代にはあるはずです。別に大学に来なくてもいいですよね。

勉強する学生を応援してください

繰り返しになりますが、大学は勉強するところです(なんでこんな当たり前のことを強調しないといけないのだ…)。

このキャンペーンでは、3万円近くお得なセットモデルや、最大4万円のキャッシュバックがある学生優待プログラムが用意されているのです。これは、「貧しく」なった大学生にとってはありがたいことです。

例えば、購入した「Surface」を使って、学会発表で賞を取ったり、クリエイター系のコンテンストで入賞したらキャッシュバックが倍に、国際会議に通ったら、全額キャッシュバックとか、旅費プレゼントとか、あってもいいのではないでしょうかね。

大学は、高校とは違い、自ら考え、答えのない世界に挑む場所です。音楽や映像の制作だけでなく、本を読んだり、実験をしたり、している大学生がいます。あらゆる学びが「クリエイティブ」なはず。その学びを通して「何者かになる」のです。

本当に一生懸命な大学生を応援したいのなら、古い「大学生像」を皮肉り、意識が高い映像やバズり広告を展開するのではなく、もっと真面目に作ってほしかったです。