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ふるさと納税で能登半島地震 被災地への支援、復興に向けた足がかりを

江口晋太朗編集者/リサーチャー/プロデューサー

2024年午後4時10分頃、石川県能登地方で震度7、新潟県中越地方で震度6弱の地震によって、北陸地方を中心に各地で家屋の倒壊や停電、断水、火災、けがなど大規模な被害が発生しました。被災された方々や地震によって影響を受けた方の安否をお祈りいたします。

「令和6年能登半島地震」と名付けられた今回の大地震、お正月の時期で帰省中の方やご実家で家族団らん中の方も多かったかもしれません。

大規模な大地震によって様々な被害や影響が発生したことから、すぐさま政府も対策本部が設置され、救助支援活動が各地で動き出しています。

注意すべきは、個人による支援は現場が受入困難になる場合もあるため、現地のニーズや状況を把握した団体や自治体らを通して支援を行うことです。

自治体支援の1つとして注目されるものに「ふるさと納税」があります。今回の能登半島地震の被害を受けた自治体を支援する仕組みが、各種ふるさと納税仲介サイトを中心にスタートしています。

通常のふるさと納税と違い、災害支援に関するふるさと納税は返礼品がなく、仲介サイトもできるだけ自治体への支援につなげようと各種手数料も取らず寄付された全額を同自治体に届けるようにしています。

寄付は1,000円以上から受け付けており、2,000円以上の寄付から所得税や住民税の税額控除が適用されます。

ここでは、ふるさと納税の各種サイトの取り組みや内容をご紹介いたします。後半ではふるさと納税以外でも税控除が受けられる取り組みも一部ご紹介しています。

▼3日22時現在、石川・輪島市やかほく市等、富山・滑川市や射水市等が追加され13自治体への寄付を受け付けています。

▼ふるさとチョイスでは、寄付に伴う事務作業の負担軽減のため現場対応に追われる自治体に代わって別の自治体が代理で寄付受付を行っています。

▼「ふるなび」では、令和6年能登半島地震の寄付だけでなく、令和5年以前に発生した台風・豪雨 災害支援、ウクライナ支援のためのふるさと納税も受け付けています。

▼大手ECサイト・楽天のふるさと納税でも特設サイトを開設、12自治体への寄付を受け付けています。

ふるさと納税以外に税制優遇が受けられる寄付を通じた災害支援

ふるさと納税以外にも、寄付控除が適用できる支援の仕方があります。

災害時の救助支援や物資支援

Civic Forceは国内の大規模災害時に、航空機やヘリコプターなどの輸送手段を活用して救助を行うチームを派遣しています。今回の能登半島地震では自治体主導のクラウドファンディング(GCF)やREADY FORによるクラウドファンディングが立ち上がっています。

災害復興支援の特別基金を運用する日本財団

東日本大震災や熊本地震など、国内の災害支援活動において、長年復興支援に携わってきた日本財団。

日本財団では、災害が発生した際、即座に様々な支援が行えるよう、被災地への緊急対応を即時実施するための「災害復興支援特別基金」でを運用しています。今回の能登半島地震を受け、1月1日~3月31日までの寄付はすべて、能登半島地震への支援として活用するとのこと。同基金は、オンライン寄付、Tポイントによる寄付、銀行振込等で寄付を行うことができます。

寄付は、単発だけでなく毎月寄付など継続寄付も行うことが可能です。

災害は発生した直後の支援も重要ですが、その後の中長期の復興にも支援が必要です。継続的な支援のための手段も検討してみてはいかがでしょうか?

公益団体、認定NPO法人に対する寄付は税控除対象となります

先に紹介したCivic Forceは公益社団法人、日本財団は公益財団法人であるため、寄付は税制優遇の対象となります。

個人の場合は2,000円以上の寄付で寄附金領収書をもとに確定申告を行うことで「税額控除」か「所得控除」を選択することができます。法人の場合も「寄附金特別損金算入限度額」の枠が適用され当該限度額の範囲で損金算入ができます。詳しくは各種サイトや団体の寄付金による税制優遇についての詳細をご確認ください。

他にも、認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)による寄付も税控除の対象となります。能登半島地震でも多くのNPOが災害支援に動き出しています。医療、教育、介護、福祉、まちづくりなど、きめ細かい現場への支援につながるNPOへのサポートもぜひ検討してみてください。

災害直後の緊急支援、その後の復興のための継続的な支援が大切

上記にあげた活動や団体以外にも、災害支援や復興支援につながる取り組みは多数あります。

災害発生直後は、建物の倒壊による生存者の一刻も早い救出や、不足する避難所における緊急的な物資支援など、大切な命をまずは第一に優先するための活動が欠かせません。災害時においてはマイノリティへの配慮も見過ごされがちです。女性や障害者などの命が脅かされないための安全面の配慮も心がけてもらいたいです。

その後、一定の落ち着きが見えてきたら、今度は街の再開に向けた復興へと切り替わっていきます。復興支援では、単純に建物の建て直しだけでなく、失われた生活環境の再興や精神的なサポート、小さな子ども達に対する教育や保育環境、高齢者に対しては介護や福祉的な環境が重要となってきます。

復興は息の長い取り組みになってきます。そのためにも、一度の寄付も大事ですが、ぜひとも継続的な支援にも目を向けてもらえればと思います。

編集者/リサーチャー/プロデューサー

編集者、リサーチャー、プロデューサー。TOKYObeta代表、自律協生社会を実現するための社会システム構築を目指して、リサーチやプロジェクトに関わる。 著書に『実践から学ぶ地方創生と地域金融』(学芸出版社)『孤立する都市、つながる街』(日本経済新聞社出版社)『日本のシビックエコノミー』(フィルムアート社)他。

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