確かな手応えを携え、1軍定着へ―。阪神・守屋功輝がこれまでの自分をぶち破る!

「オレがヤル!」と守屋功輝投手(撮影:筆者)

■初の1軍キャンプ

 もう迷わない。確かなものを手に入れた。1軍で勝負できるものを。

キャッチボール
キャッチボール

 プロ入り5年目にして、はじめて1軍キャンプメンバーに選ばれた。今年こそ開幕から1軍に入る。いや、入るだけではない。定着するのだ。阪神タイガース守屋功輝投手は、そう誓った。

 今年も1月は読売ジャイアンツ田原誠次投手の自主トレの門を叩いた。そこで早くもブルペンの傾斜を使ってピッチングを開始した。手応えは上々だった。力強い、重そうなボールがキャッチャーミットを小気味よく鳴らしていた。

キャッチボール
キャッチボール

 共通の知人の縁で紹介されたこの自主トレに、はじめて訪れたのは2年前だった。そのときは1日だけだったが、翌年の2018年からがっつり参加するようになった。当時、“あること”に挑戦中だった守屋投手にとって、ここは願ってもない場所だった。

■サイドスロー転向を決意した2017年秋

タブレットで撮影し、投球後すぐにチェック
タブレットで撮影し、投球後すぐにチェック

 プロ入り2年目の2016年、1軍で初登板初先発したが敗戦投手となった。その後、中継ぎで昇格したものの、定着はできなかった。3年目は1試合に終わった。そこでその年の秋、思いきった改革を自身に課した。腕の位置を下げることにしたのだ。

 実はその年のシーズン中、1軍昇格時に矢野燿大監督(当時は作戦兼バッテリーコーチ)から腕を下げることを勧められていた。しかしそのときは「今シーズンはこのフォームで頑張りたい」と自身の意志を貫いた。が、なかなか結果が出なかった。

キャッチボール
キャッチボール

 シーズン終了後、鳴尾浜での秋季練習中に再び提案された。さらに矢野監督(当時はファーム監督)から動作解析の先生を紹介され、そこに通った。すると「下半身が横の使い方。上と合っていない」ということが判明した。

 これはもうサイドスローにするべきだと、腹をくくった。

体の使い方を教わる
体の使い方を教わる

 幸いにも、台湾でのウィンターリーグに欠員ができ、参加できることになった。そこで思いきってサイドスローで投げた。ただ、やはり急造だ。これまでと体の使い方や使う筋肉も変わり、負担がきたのか肘が張ってきた。

 そこでひとまず“腕の位置問題”は棚上げし、下半身に意識を集中した下半身主導のフォームの中で、腕はそれについてくるまま自然に任せよう、と考えた。

「すごく優しい」と後輩から慕われる読売ジャイアンツの田原誠次投手
「すごく優しい」と後輩から慕われる読売ジャイアンツの田原誠次投手

 そして年が明けて2018年1月、田原組の自主トレに参加させてもらった。別名「チーム・サイドスロー」とも称されるくらい、サイドスローの投手が何人も顔を揃えている。なにより田原投手自身がサイドハンドの使い手として名高い。サイドスローに挑戦しようとしている守屋投手にとって、これほど最適な自主トレ場所はなかった。

 田原投手にキャッチボールの相手をしてもらいながら、さまざまなことを教わった。特に上半身に力が入りすぎていることを指摘され、あらためて下半身主導の重要性を認識させられた。

(奥から)G田原誠次、T尾仲祐哉、T守屋功輝、DB寺田光輝
(奥から)G田原誠次、T尾仲祐哉、T守屋功輝、DB寺田光輝

 キャンプで手応えを掴み、シーズンに臨んだ。「2軍ではどんどんよくなってる手応えはあった。シーズン途中、矢野さんからインコースを使えって言われて、(登板の)最初からどんどん使うようにしたら、ほんとよくなってきた」。

 ファームではチームトップとなる39試合に登板した。しかし1軍では6月に4試合登板したものの、結果に結びつけることはできなかった。

トレーニングはめちゃくちゃキツい
トレーニングはめちゃくちゃキツい

 シーズン終盤にはちょっぴり覚悟もした。もうタテジマのユニフォームを脱がなければならないかもしれない、と。ふとした会話から、守屋投手のそんな心情が窺い知れた。

 しかし見ていてくれた人がいた。矢野監督だ。ずっとその能力を高く評価してくれていた、その人が1軍の監督に就任したのだ。矢野監督は昨年の秋季キャンプでも守屋投手を絶賛し、「使えるんやって、ほんまに!」と報道陣に“自慢”した。

 だからこそ今季は必ずチャンスをモノにしたい。いや、しなければならない。自ずと鼻息も荒くなる。

■2019年の自主トレ

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 そこで今年はより一層の気概をもって1月の自主トレに参加した。「(がっつり参加して2年目で)下の使い方が自分でもわかるようになってきた。使えているときと、使えていないとき。ダメなときも自分で何でダメなのかわかるようになってきた」と頷く。

左が小出大輔氏
左が小出大輔氏

 この自主トレに帯同しているテクニカルコンサルタント小出大輔氏に体の使い方を教わっている。「わかってきたから、質問もしやすくなった。どういうふうに伝えたらいいかわかるようになってきたし、小出さんに言われていることが入ってきやすくなった」。

 たとえば「この練習は、フォームのここに生きている」など、実感として身についているという。だから「より、自分で修正ポイントがわかるようになった」と声を弾ませる。

集中力を研ぎ澄ませて聞く
集中力を研ぎ澄ませて聞く

 どんなに素晴らしいトレーニングでも、本人がピッチングにどう生かせばいいのかわかっていなければ、効力は発揮されづらい。そのことがわかったのだという。

 小出氏も「下半身の使い方がわかって、バランスがよくなった。左打者のインコースにしっかり投げきれる形ができている。自主トレ参加3年目で着実に動きが洗練されている。仕上がっている」と讃えていた。

カメラに気づいて、お茶目なポーズ
カメラに気づいて、お茶目なポーズ

 試行錯誤してきた腕の位置も「ポジションにはとらわれない」という結論に達した。「下を使っていれば、自然とついてくる。上に力が入っているからストレスがかかっていた」。

 昨年から変わらぬテーマは「脱力」だという。「『どれだけ力を抜いて投げられるか』が、もっとも大事。いい感じのときには力が抜けて、リリースにしっかり力が伝わっている」。あとはその“いいとき”の頻度をいかに上げるか。

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 さらに田原投手直伝のカーブも完全マスターしたいと意気込む。昨年教わり、使ってはみたものの、「いいときはあったけど、少なかった。(シーズンの)最後らへんは、もう使えなかった…」。

 強い真っすぐを持つだけに、カーブがあるだけで相手の反応はまったく違ってくる。「カーブがあることで、真っすぐの見え方が違ってくると思う。高めの真っすぐで三振が取れるようになる」。

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 守屋投手が習得したいという田原投手のカーブは、「ブレーキが効いている。キャッチボールしていても、全然こない」という。「まず『抜くところから』と言われる。抜くことを覚えたら、曲がるのも勝手にできてくるとは言われてるけど…」。

 「どうしても頭がつっこんだり、肘が落ちたりしてしまう」と、頭では理解できても、それを体現することは至難のようだ。しかし、改善点は自分でわかっている。「武器になる」と、“田原カーブ”は必ずモノにするつもりだ。

■背水の覚悟で臨む2019年シーズン

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 「社会人から入って5年目。同期の中でも一番、1軍で結果を出していない。まだ10試合も放ってないなんてヤバい」と申し訳なさそうに口にする守屋投手(過去4年で9試合)。

 背水の覚悟の2019年だ。「まずは『なんでもやります』というところからスタート。その中でどんどん結果出して、いいポジションに入っていきたい」。

 今年こそ―。矢野監督の期待に応えるためにも、田原投手の教えに報いるためにも、バッターのインサイドをグイグイえぐって、自分の居場所を確保する。

オレがヤル!
オレがヤル!

(撮影はすべて筆者)

守屋 功輝もりや こうき)】

倉敷工高⇒Honda鈴鹿

1993年11月25日(25歳)/岡山県

184cm 88kg/右投右打/A型

2014年ドラフト4位

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