阪神タイガース・投手陣のリーダー、ランディ・メッセンジャー投手は開幕戦へ向けて準備万端!

シェイプアップして2016年シーズンに臨むランディ・メッセンジャー投手

■阪神タイガースの開幕投手はメッセンジャー投手

プロ野球開幕まで1週間と迫った。阪神タイガースの開幕投手はランディ・メッセンジャー投手だ。キャンプ最終日に通達されたその栄誉は、自身が欲してきたものであり、手に入れることを公言し続けてきたものでもあった。

開幕投手は譲らない
開幕投手は譲らない

なぜそこまで「開幕投手」にこだわるのか。メッセンジャー投手はこう表現する。「先発投手である以上、それを目標にしてやるべき、目指すべきだと思っている。開幕投手というのは監督、コーチ、チームの皆さんから信頼される人がなるべきだし、チームに勢いをもたらすピッチャーがなるべきだ」。メッセンジャー投手はそれだけの気概をもって、シーズンに臨もうとしているのだ。そして望みどおり2年連続3度目の開幕投手に指名され、「光栄だし、誇りに思う」と胸を張る。

今年は特に、より強い意気込みでキャンプインした。シェイプアップした体は別人のようで、削ぎ落とされた顎のラインは、ジェフ・ウィリアムス投手を想起させるほど。「絶対に開幕投手をするという気持ちからでもあるし、もちろんそれだけではない」と、“肉体改造”した理由を明かすメッセンジャー投手。「今年はやり返したい気持ちが強いんだ」と語気を強める。

タイトルも取り返す!
タイトルも取り返す!

2013年は最多奪三振、2014年は最多奪三振最多勝利のタイトルを獲得した。しかし昨年は9勝12敗と負け越し、無冠に終わった。「一度獲ったタイトルは誰にも譲り渡したくない。自分のタイトルだと思っているからね。また獲りたいし、獲り続けたい。体を絞ってきたのは開幕投手に選ばれる為でもあるし、タイトルを取り返す為でもあるんだ」。

■超ハードなハイキングと初導入したウェイトトレーニング

ではどのような方法で、今の肉体を手に入れたのだろうか。「食事とトレーニングだよ」と、こともなげに語り、具体的な内容を教えてくれた。まず食事は「単純に量を意識したよ。腹八分目。過度な摂食をしないよう、気をつけた。それだけだよ。摂る内容は、そこまで意識はしなかったね」。

栗山通訳とは超仲良し
栗山通訳とは超仲良し

しかしトレーニングは相当追い込んだ。「この冬はそこまで寒くなかったので、外によく出かけたんだ。ハイキングにね(笑)」。“ハイキング”とは楽しそうな響きだが、日本人が考える“ハイキング”とは意味合いが違い、とても重いトレーニングだそうだ。

自宅近くにある大きな山を登るのだが、本格的な登山用のブーツを履き、背負うリュックには10キロ以上の水などを詰め込む。「色んな道があるんだ。長かったり短かったり、なだらかだったり急だったり、また真っ直ぐだったり斜めだったり…。毎日違うコースを登るんだ」。様々なコースが、多くの違った負荷を己の体に与えてくれる、この上ないトレーニングになるそうだ。

更には自身の持つ土地に植わっている木や倒れた木を切るというトレーニングも行う。これまた全身の筋肉を使い、持久力も培えるという。

いつも一緒の栗山通訳
いつも一緒の栗山通訳

例年以上に鍛え上げ、キャンプに入ってからはウェイトトレーニングにも精を出した。「元々ウェイトトレーニングをする選手ではなかった」というメッセンジャー投手だが、今キャンプは金本知憲監督の方針により必須メニューとして全選手に課された。「金本監督の変革の一つだけど、取り入れてよかったよ。ある程度 年を重ねると、必要だなと気づいた。今のところ、それが功を奏していると思うよ」と、感謝している。

ただ、まだ満足はしていない。「体自体は調子いいけど、筋肉量はまだ増やせると思うし、脂肪は減らせると思う」とストイックだ。体重や体脂肪率などの目標数字を設定しているわけではなく、日々トレーニングをして計測し、その上で更なるトレーニングを考える。「簡単なことではないけど」と毎日、自身の体と向き合っている。

■日本で成功する為に。後輩外国人選手たちへのアドバイス

日本での暮らしも7年目となる。ジーン・バッキー投手ジェフ・ウィリアムス投手に続くタイガース史上、最長タイだ。今季は新たな後輩外国人が3人加わった。マルコス・マテオ投手ラファエル・ドリス投手、そして野手のマット・ヘイグ選手だ。彼らには日本で長く活躍するための秘訣を伝授している。キーワードは「オープンマインドだ」という。「とにかく閉ざさずに心を開いて、聞く耳を持つことが大事だ。これまでやってきた野球と日本の野球には違いがある。だからアドバイスは聞き入れるように。やってみて、生かせるものは生かす。最初から間違っていると思わず、まずは受け入れること」。

マテオ投手とドリス投手
マテオ投手とドリス投手

メッセンジャー投手も来日当初は、練習量が多いことに驚いたそうだ。「アメリカでは全体練習はパパッとやって、あとは各自でやるからね。でも日本で同じようにしていたら、いい印象ではないだろう。皆と同じようにグラウンドに残ること。コーチの指導も多いけど、それをちゃんと聞くというのも大事なこと」。

今ではすっかり“ジャパニーズスタイル”を身につけているメッセンジャー投手は、とにかくよく練習する。そして周りの言葉にも素直に耳を傾ける。特に今年は金本監督から「投手陣を引っ張ってほしい。リーダーとして示してくれ」と言われ、意気に感じている。「自分からやらないと他の人はやらない。いい見本になるんだという意識でやっている」と、自ずと練習量も増えているという。その姿は何より雄弁だ。きっと、新外国人選手たちにも伝わっていることだろう。

箸使いも完璧
箸使いも完璧

食に関しても、異国でトライすることの重要性を語る。メッセンジャー投手のラーメン好きは有名だが、寿司など生魚も大好物だ。何にでも躊躇なくチャレンジするという…ある1つを除いては。そのある1つとは、「納豆だけはダメだね。納豆はトライもしないよ」と顔をしかめる。

実はアメリカにいる頃は偏食家だったというメッセンジャー投手。しかし「日本に来て何でも試すようになったんだ」と話す。異国の地に馴染もうとするうちに、食の面でもチャレンジ精神が旺盛になったようだ。今では納豆以外は、梅干でもなんでもござれだ。

外国人の後輩たちを引き連れて食事に行くこともあるが、ラーメン屋にはまだ招待していない。「彼らはまだ箸の使い方が下手なんだ(笑)。いいラーメン屋は木じゃなくてプラスチックの箸だから、使い方がより難しいからね」。まずは箸の使い方の特訓から始めねばならない。

■超変革するチームの中でのリーダーとしての自覚

「昨年はシーズン序盤、コントロールに苦労した」という反省から、今年は制球をより意識して仕上げているという。中4日、中5日という短い登板間隔を好む。しかし100球ほどで交代するということはなく、常に完投を目指す。「短い間隔が好きだし、それがチームの為になると思っている。自分にはチームに勝利をもたらすことができると信じているからね」。

チームの勝利の為にフル回転する覚悟だ
チームの勝利の為にフル回転する覚悟だ

そして登板後のマッサージも必要としない。「次の登板までの準備期間に肩や腕のエクササイズ、ケアをしっかりやるから、マッサージはしなくて大丈夫なんだ。ただやるんじゃなく、しっかりした形でやるという意識が大事なんだ」。とにかくタフだ。チームにとって、これほど心強い存在はないだろう。

「チーム全体が変革しているのを感じるよ。監督、コーチ、選手だけでなくスタッフも。真剣な中にも楽しもうとしているのを感じる。試合のことを“ゲーム”って言うだろう。まず楽しむことが基本にあるんだよ。今のチームにはその雰囲気があるね」。もちろん、メッセンジャー投手自身も大いに楽しむつもりだ。そして、そこに必ず結果はついてくると信じている。

「超変革」のスローガンをバックにキャッチボール
「超変革」のスローガンをバックにキャッチボール