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【森友学園問題】 自殺者と佐川長官辞任 最大のピンチを迎えた安倍政権

安積明子政治ジャーナリスト
当初は余裕の表情だったが……(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

とうとう自殺者が出た

 国有地取引の公文書の書き換え疑惑を巡って国会が紛糾していた森友学園問題だが、3月9日に風向きが一気に変わった。ついに犠牲者まで出てしまったからだ。

 自殺したのは近畿財務局の上席国有財産管理官で、森友側と直接交渉していた統括国有財産管理官の直属の部下だった。体調を崩して半年ほど休職していたが、7日に大阪地検の聴取に応じた後、神戸市内の自宅で自死したという。

回答できない財務省

 永田町が騒然となったのは、遺書が残されていたという話が伝わってきたからだ。

「その遺書には『改ざんを強要された』ことをほのめかす内容があったらしい」

「近畿財務局が遺族に『遺書の内容を口外するな』と口止めしたらしい」

 9日午後2時から国会内で開かれた野党6党による「森友文書」ねつ造疑惑野党合同ヒアリングでは、富山一成理財局次長に次々と質問が飛んだ。しかしほとんどの質問に対して否定もせず、「コメントを控えさせていただく」としか答えなかった。

「朝日のフェイクニュース」と騒がれた文書の存在が鍵か

 こうした話に加えて衝撃的だったのは、「朝日新聞が確認したとされるのと同じ文書が遺書とともに置いてあったようだ」という噂が永田町に流れたことだ。朝日新聞は3月2日に「森友文書 書き替えの疑い」とのタイトルで一面に掲載。契約当時の文書の内容と問題発覚後に国会議員に公開した文書の内容が複数箇所で異なっていることを報道した。もっとも朝日新聞はその“現物”を公表しなかったため、一部から「フェイクニュースだ」との批判を浴びていた。

政権と財務省の断末魔

 管理官の自殺は、財務省にとって大打撃となる。問題発覚当時の理財局長で、国会で「文書はない」と言明していた佐川宣寿国税庁長官は、さっそく9日に辞任した。その夜に開かれた麻生太郎財務大臣によれば「辞任は佐川氏本人からの申し出」とのことだが、「上からのトカゲのしっぽ切り」の印象は免れない。辞任の理由が国会の混乱を招いたことなどで、「いまさら」という感じがするからだ。

そして「とうてい逃げられない」と観念したのだろう。財務省は12日に「森友学園」に関する決裁文書の書き換えを認める方針を発表する予定だ。自殺した管理官の「遺書」の内容から、とうてい逃げられないと判断したのだろうと言われている。

しかしながら文書を書き換えたのなら、有印公文書変造罪に当たり、刑事罰の対象となる。「官庁中の官庁」である財務省が犯罪を認めたという前例のないことになるが、その責任を負うのはいったい誰なのか。単に現場の判断だったのか。それとも「天の声」があったのか。「教唆犯」次第では、政権が吹っ飛ぶような問題になる。

もっともすでに本当の「犯人」はわかっている。それが差し出されるまで、この騒動は終わらない。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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