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【国政からリセットされる小池知事】 朝日新聞報道と細野氏「裏切り」で窮地に!

安積明子政治ジャーナリスト
設立したのはこの人たちなのに…(写真:つのだよしお/アフロ)

小池百合子が消えた!

 希望の党のホームページから、創始者である小池百合子特別顧問が消えている。同党は11月24日にホームページをリニューアルし、小池氏の動画と写真を削除した。いまやトップページを飾るのは玉木雄一郎代表の写真で、小池氏はその姿どころか名前すら掲載されていない。

 小池氏は9月25日、若狭勝氏や細野豪志氏が水面下でやってきたことを「リセット」し、大々的に結党を宣言したが、わずか2か月で自分自身がリセットされたことになる。失った政治的影響力は極めて大きい。さらに様々な暴露話が出ることで、小池氏の政治生命は風前の灯だ。

朝日新聞の暴露

暴露話の第1弾は朝日新聞が11月22日、小池氏と民進党代表だった前原誠司氏が9月26日に極秘会談を行ったと報じたことだ。この時に前原氏は民進党が保有していた100億円超の資金と党職員の提供を申し出たが、小池氏は断り、憲法と安全保障について譲れないので全員合流はないと述べたという。

これが本当なら、その2日後の9月28日に民進党両院議員総会で「全員が希望の党に合流」だと明言した前原氏は「裏切り者」ということになる。そして希望の党に参加した元民進党の現職や候補に民進党から資金提供があった事実は、小池氏が資金提供を拒んだのが表向きだったことが見てとれる。

またこの極秘会合に同席していた連合の神津里季生会長が、朝日新聞の暴露記事に不快感を示した。

「実際に(合流を)狭めたのは小池さんの周辺だ。その罪は極めて大きい」

「これは忖度ではなかったかなと思っている」

 神津会長は11月22日夜のBS放送でこう述べたが、要するに希望の党がうまくいかないのは、小池氏をとりまく集団に原因があるということだ。

細野氏の暴露は変わり身か

 しかしながらその集団のひとりで「三権の長の経験者は(新党参加を)遠慮してほしい」と述べた細野豪志氏は、その発言が小池氏から言わされたものだと暴露した。

これは11月27日付けの野田氏のブログ「かわら版」に掲載されたもので、細野氏が特別国会の召集日である11月1日に本会議場で野田氏に接触し、謝罪してきたあらましが細かく描かれている。

 そこには細野氏から話を聞き、怒り心頭の野田氏の様子が伺える。

「野田政権で環境相を務めた細野氏らに頭を下げてまで公認を求める気にはなれなかった」

「戦いを前にした私の直感は、故事成語よりも意地と矜持を優先しました」

「実は主謀者が党首だった小池百合子都知事であった」

「『寛容な保守』という看板は偽りであり、極めて非寛容で排除の論理を振りかざす人物だったとは…」

「同時に上からの指示を明らかにする細野氏の真意についても、不可解としか言いようがありません」

 それにしても細野氏が謝罪した11月1日から野田氏がこれを公表した11月27日まで、3週間以上も経過している。野田氏はなぜ今これを公表することにしたのか。小池氏の力が弱まり、反撃できなくなった上での事実の暴露か。それとも次の局面へのメッセージなのか。

 いずれにしろ政治は、小池氏を切り捨てながら進んでいる。

 

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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