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【神戸・橋本市議】今井絵理子氏の不倫疑惑報道の相手、SPEED辞職へ

安積明子政治ジャーナリスト
お相手の今井絵理子議員も、もう“お手上げ”か?(写真:アフロ)

 “雉も鳴かずば撃たれまい”というのは、まさにこのことだろう。自民党の今井絵理子参議院議員(33)との“不倫関係”を週刊新潮に報じられた橋本健神戸市議(37)が辞意を固めたことが大手紙の報道などで明らかになった。理由は政務活動費の架空請求疑惑だという。

野々村事件で自重?

 地方議員の政務調査費問題は、“野々村事件”で一躍クローズアップされた。兵庫県議だった野々村竜太郎氏は在任中に344回もの虚偽の「日帰り出張」を繰り返し、架空の政務活動費913万円をだまし取ったとして、2016年7月に詐欺罪で有罪が確定している。

 橋本氏の場合、2010年度から14年度にかけて、チラシ製作を市内の印刷業者に発注したとして、720万円の政務活動費の支払いを市から受けた。

 8月23日発売の週刊新潮によれば「経営実態がない」というこの印刷業者は、さっそく翌24日には弁護士を通じて「実際には印刷せずに領収書を発行した」とコメントを発表。さらに橋本氏が携帯に送ってきた“想定問答集”を公表し、口裏合わせを強いられたことも暴露した。

 興味深いのは、話題になった野々村元県議の“号泣会見”が行われたのが2014年7月1日で、それ以降に橋本氏がこの業者に政務活動費の支払いをしていないことだ。おそらく本人も自重したのだろう。

売名行為が裏目に出た

 その警戒感がずっとあったのなら、今回の騒動にはならなかったのではないか。橋本氏は今井議員との不倫疑惑が報じられた時、メディアを集めて会見した。だがすでに東京では今井議員が問題について対応しており、全国的な知名度がゼロの橋本氏がしゃしゃり出る必要はなかった。もっとも説明は必要だが、書面で足りる。これでは「売名行為」として受け取られても仕方ない。

「ハシケン?選挙では強いよ。自民党だからね。でも政治家として何を“売り”にしているのかというと、わからないなあ。大きな悪いことは聞かないけど、ちょこちょこした金銭的な問題は聞いたことがある。本人は国政への転出を狙っているようだけど、党内では期待されていないみたいだ」

 不倫発覚直後、筆者の問い合わせに対し、地元のある議員はこう言った。

 もっとも橋本氏が国政を狙っているのなら、全国レベルに顔を売るチャンスとして会見を開いたことは納得できる。だが汗をかきつつしどろもどろに話すその姿は、マイナスになりこそすれ、プラスにはなっていない。しかも20代の頃と思われる写真を使用したホームページと実物では、印象が全く違うではないか。これには怒りを禁じえない。

 さらに会見で「4、5年前から夫婦関係が破たん」と説明したことも、「昨年8月にいきなり離婚を切り出され、9月に(橋本氏が)家から出て行った」という橋本氏の妻の主張と食い違う。これでは人間としての信用も失墜だ。

今井議員への波及は?

 その一方で、今井議員は25日にようやく公務に復帰したものの、この件では沈黙したままだ。これについて先日会った古参の秘書は、こう述べて苦笑した。

「これまで女性議員の中には『愛人』と噂された人もいた。でもそのお相手はほとんどが時の総理や有力議員だった。あの市議じゃあね」

 もともと政治家としての評価の高くなかった今井議員だが、さらに面目を失った形だ。

 橋本氏が失ったものはさらに大きい。今井議員との不倫疑惑が発覚していなければ、橋本氏はこれからも市議として当選を重ねることができたはず。それどころか政務活動費をだまし取ったと、詐欺罪に問われかねない。また今回の議員辞職は、10月22日の衆議院補選への悪影響を懸念する自民党の思惑も影響しているに違いない。

 混乱の夏はまだまだ続きそうだ。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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