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【蓮舫代表二重国籍問題】政治家なら戸籍開示も必要

安積明子政治ジャーナリスト
釈明会見を開いた蓮舫氏だが、その説明で国民の理解は得られたのか(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

民進党の蓮舫代表が7月18日夕方、党本部で会見を開いた。昨年9月の代表選前に発覚した自身の二重国籍疑惑について釈明するためだ。事前に弁護士と大串博志政調会長によるブリーフィングが行われた。おそらくは蓮舫氏の説明責任を軽減するためだ。

相変わらず的外れな蓮舫発言

「本来戸籍は開示すべきではないと思っています。また誰かに強要されて戸籍をお示しをするということはあってはならないことは、まずもって申し上げさせていただきたいと思っています」

会見の冒頭、蓮舫氏はこう述べた。13日の定例会見では「戸籍謄本そのもの(の公開)は言っていない。(戸籍謄本は)すぐれてプライバシーに属するものである。差別主義者、排外主義者に言われてこれを公開することが絶対にあってはならないと思っている」と言っていたが、18日の会見では「差別主義者、排外主義者」の言葉が消えた。しかし内容はほぼ同じだ。そして的が外れている。

もっとも戸籍は重要な個人情報を含み、むやみに開示されるべきではない。それは私人であろうが国会議員のような公人であろうが、当然のことだ.だが国会議員の場合、私人よりも個人情報を開示しなければならないことが多い。たとえば資産公開だ。

政治家は私人よりも個人情報を公開する

経済状況は個人情報のひとつであることはもちろんだ。最近では個人の納税額も、非公開となっている。しかし政治家には資産公開する義務がある。政治倫理を確立し、民主政治の健全な発展に資する法益が勝るとされるからだ。

同じことは国籍についてもあてはまる。公職選挙法は重国籍禁止の規定を持たないが、国籍法をはじめとして法体系は単一国籍を前提としている。二重国籍者が議員となっても罰せられることはないが、それを法律が歓迎しているわけではない。一般的にいえば、政治に関わりを持とうとするのなら、法から逸脱することはなるべく避けるべきだろう。

ただし私人なら話は別だ。国籍法が二重国籍に刑罰を規定しないのは、個人の自由という法益を尊重しているからだ。よって、戸籍を無理やり開示させなければならないケースはほとんどないだろう。

いやなら政治家を辞めるべきだ

野党第一党の代表である蓮舫氏の国籍確認のための戸籍の開示と、一般の私人の戸籍の開示とを同一レベルで扱おうとすることは、全く愚かしいとしかいえない。野党第一党である民進党の代表は、政権交代が起これば総理大臣になる可能性もある。そもそも国籍も政治家を選択するひとつの材料。戸籍を開示したくないのなら、はじめから政治家になるべきではないだろう。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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