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【安倍内閣大ピンチ】 党役員人事にも影響を及ぼす内閣支持率の激減

安積明子政治ジャーナリスト
次期内閣改造で、官房長官ポストはどうなるか(写真:つのだよしお/アフロ)

6月18日に新聞テレビ各社が出した世論調査では、安倍内閣支持率が軒並み大きく減少した。とりわけ毎日新聞の調査結果は、内閣支持率が前回より10ポイント減の36%で、不支持率は9ポイント増の44%。不支持率が支持率を上まわった点ともに、全体的に「不支持」へと動いていることがポイントだ。

これについて民進党の野田佳彦幹事長は6月19日の会見で、「終盤国会での共謀罪法案の強行採決や加計学園問題が消化不良に終わったこと、逃げ切ろうとした姿勢が影響した」と言及。安倍晋三首相も同日夕方に開いた会見で支持率低下を意識して、「国民のみなさんから信頼を得られるよう、冷静にひとつひとつ丁寧に説明していく努力を積み重ねていかなればいけない。その決意を国会の閉会にあたって新たにしている」と述べている。

だがこの急激な支持率低下の責任をとるべきなのは、ひとえに諸問題に対応を間違えた官邸だ。では与党である自民党議員はこれについてどう思っているのか。

支持率低下は想定内

「すでに想定していたこと。ずいぶん前から地元の有権者の態度に冷たさを感じていた」

ある若手の自民党議員は非常な危機感を持ちつつも、冷静にこう語ってくれた。

「国会が実質に終わった週末に、数百軒の支持者の家を回ったが、数軒でこれまでにない厳しい言葉を聞いた。森友学園問題や加計学園問題での政府の処理のずさんな仕方が、“奢り”、“高ぶり”ととらえられているのだ。このまま解散総選挙に突入すると、多くの同志が死ぬ(落選)ことになるかもしれない」

ではどのようにすればよいのか。

スポークスマン更迭で、イメージ一新を

「まずは政府のイメージを一新させるため、内閣のスポークスマンを変えてもらいたい。あの木で鼻をくくったような言い方が、有権者の反感を買っている」

要するに「菅義偉内閣官房長官を更迭しろ」というわけだ。

確かに安倍首相は秋までに内閣改造と党役員人事に着手する予定で、菅長官の自民党幹事長横滑り説も根強くある。

党内バランス上、二階幹事長は外せない

だがそれでは二階俊博幹事長が黙っていないだろうというのが大方の見解だ。いまの安倍政権は微妙なバランスの上に成立しているが、そのバランスをとるためのファクターが、二階幹事長と麻生太郎副総理兼財務大臣。とりわけ二階幹事長は、党内でともすれば頭をもたげてくるアンチ安倍勢力をけん制する役割を担っている。さらにいえば二階幹事長を更迭すれば、今村雅弘前復興担当大臣の失言による更迭や加計学園問題の前川喜平前文科事務次官と中曽根弘文元文部大臣が縁戚である点などで小さくはない問題が噴出し、収拾がつかなくなるかもしれない。

前述の自民党議員が語る。

「実際のところ、二階幹事長を更迭するとしても後釜がいない。細田博之総務会長を幹事長に横滑りさせるという話もあるが、それでは総理と幹事長が同じ派閥になってしまって適当ではない」

今回の内閣支持率の激減は、その数字のみならず想定外の党内人事の問題でも、安倍首相を悩ませることになるようだ。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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