夫は要らない女たちの 禁断の“息子萌え”
今回は久々に若いイケメンに立ち返りたいと思います!はい、この人。
おー!イケメン!眼福です、眼福。さて今回ご紹介するのは、オーストラリアのほんとに美しい風景の中で、こんな状況におちいった大人女子を主人公に描く『美しい絵の崩壊』。超個人的に感じたテーマは「息子萌え」!そうなんです、このふたり禁断の関係、母と息子なんですね~!(ある種の!)てことで、まずは物語から。
主人公は、幼い頃から双子の姉妹のように育ったロズとリル。結婚しそれぞれにトムとイアンという同じ歳の息子を産んでからは、ロズの海辺の家でいつも4人一緒。こちらも親友同士の息子たちは海でサーフィンを楽しみ、それを眺める母二人は「まるで美しい神々ね」なんて囁き合います。はい、どん!
ロズ役はロビン・ライト48歳、リル役はナオミ・ワッツ45歳……てかキレイすぎー。こちらも、はいどん!
もちろん年齢的には産んでてもおかしくないけど、緩みのないバディはビキニきても全然オッケーで、4人は母息子でありながら二組のカップルにしか見えません。ビーチでいちゃいちゃし、夜はテラスで海見ながらお酒飲んで、ダンスしてハグして、お母さんノーブラかよ!息子も若い男なんだからさ!と、のっけからドギマギしますー。
そういうアラフォーの老婆心はハズしません。
イアンは密かにロズを想っており、いつもどおりロズの家に泊まったある晩、ついに!ひゃあああ!そしてイアンの部屋から出てくる事後の母親を目撃し衝撃を受けたトムは、ご近所のリルの家へに行き「僕らも…」なんつってリルにガバッ!なんでえええー!お母さんたち、たしなめなあかんだろ!……と激しく(私が)動転しながら、物語は転がっていきます。
この映画にはところどころでリンゴがさりげなく登場し、時に4人はそれを分け合って食べたりします。リンゴは罪の果実、つまり4人は同じ罪を共有しているんです。でも冷静に考えるとそこまで禁断じゃないんです、だってそれぞれは他人同士だし。それでも罪の匂いが消えないのは、母親二人は互いに相手の息子も自分の息子同然に育ててきた、擬似母息子だからなんですね。
年頃の息子がいるアラフォー世代の母親は、例えば自分が息子同然の若い男と付き合う妄想はしても、自分の息子が自分と同じ歳の女と関係するなんて許せない人がほとんどだと思います。それはまだ枯れてないその世代の母親にとって、息子はある種の性的な存在だからなんじゃないかなと思うんです。それこそが「息子萌え」。「マザコン」を別の方向から肯定的に言い換えたこの言葉の出現は、息子を「萌え」の対象にする母親が今やザクザクいる、認知されていることを物語っています。
個人的には、例えばオリンピックの時、メダルを取ったイケメン男子選手が母親とLINEしてるとかいう話を聞いたときに、ものすごーく感じました。そりゃあこんなに優秀で可愛い息子がいたら、若い彼氏みたいな気分だよな~って。この二人はその究極といっていいかもしれません。ギリセーフな形で「息子」との関係を実現させているわけです。
この現象を初めて聞いたとき、息子を持たない私はいささかギョッとしたわけですが、ギョッとした後にふと思いました。これってもしかしたら、アラフォーすぎて息子世代のアイドルにハマる女子の感覚と根っこは同じなんじゃないかと。
一昔前、35歳を越えた女子は結婚していてもしていなくても、お母さんになっていても、心無い男性に陰に日向に「女じゃない」と言われることも多く、特にここ10年くらいはそこに奮起して「いくつになっても女(外見的な意味だけでなく!)」であることを目指して走ってきた感があります。そのために必要だったのが、年齢なんて関係なく女性として大切にしてくれる男子。面倒見のいい妻とかキャリアウーマンとかできた嫁とか頼れる上司のような、女子であること以外の別のタスクを求めない男子。それが人によっては息子であり、アイドルなのかもしれません。
イアンがロズに言うせりふにこんなんがあります。
「あなたは年をとらない。僕がとらせない」
ええ、わかってますよ、こんなんは愚かな若い男のベタなピロートークでしかないってことくらい。でもそういうつまんないことが、意外と女を女たらしめているもんなんですよねー。女のかわいさは、こういうことを言ってくれる男にしか向かいません。まあ、古来から男性がやってきたことと同じっちゃあ同じ。『美しい絵の崩壊』の美しい女たちに、夫の存在感がほとんどないことは、その証拠なのかもしれません~。
さて最後にイケメン情報を。映画を観た大人女子がこぞってメロメロになるに違いないのは、ロズのお相手イアンを演じるゼイヴィア・サミュエル。この作品の中でもっとも苦悩するキャラクターで、身体は体育会系だけど恋に苦しみ身悶える姿は文系という、個人的にもどうにもこうにも好きなタイプです。その美しさを際立たせるのが、オーストラリアの美しい海。特にロズの家の前に広がる入り江の美しさは格別。外の世界のモラルなんてどうでもいい、ずーっとここにいたいと4人に思わせるに違いない、完璧な楽園。日常を忘れて、思う存分酔える映画になっています~。
5月31日(土)より公開
5月31日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、横浜ブルク13他全国にて