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男子の筋肉ボディが好きなのに、『マジック・マイク』を見ないなんて!

渥美志保映画ライター

夏休みに入ったかと思ったら、もうお盆なんですねえ、知りませんでした原稿に埋もれてて。そこで読んでるあなた、まさか職場のPCですか。いかんないかんな、夏はドカーン!バーン!うふん!いやん!みたいな夏らしいことしたほうがいいなあ、断然いい。でも夏休みはどこ行くにも高いしなあとか言いましたね。いつもと同じ値段の場所もあるんですよ。映画館ですー。ドカーン!バーン!みたいな映画、やってますね。ジョニ・デの『ローン・レンジャー』とか、缶バッチことカンバーパッチ様の『スタートレック イントゥ・ザ・ダークネス』とか。悪くないです悪くないです、け・れ・ど・も、私が猛烈にオススメするのは『マジック・マイク』という作品です。この夏、女子が見るならこれしかない!なんつったってネタは男性ストリップ!ひゃっほ~う!

主人公マイクはマイアミに暮らす青年で、自分で会社を興してビジネスをしたいと思ってるんですが、これがなかなかままならず、生活のために夜は“マジック・マイク”と呼ばれる男性ストリッパーとして働いています。“マジック”っていうのは、「なんなのあんた、魔法使い?」って感じの“とにかくすっごい!”人につける形容詞ですね。マイクは、夜な夜なマイアミの町の女子を大興奮させている“とにかくすっごい”ストリッパーなわけです。これを演じているのが、この映画の大ヒットで去年、ピープル誌の「最もセクシーな男」な男に選ばれたチャニング・テイタム。それ誰だよ!って今、読みながら言いましたね~。この人です、はい、ドン!

くちびるもポロンとしててかわいいんですね~
くちびるもポロンとしててかわいいんですね~

日本で一番有名な出演作は『G.I.ジョー』ですが、覚えてませんね。恐ろしく地味な主人公でした。チャニングをあの作品で知った時は、私も「また新たな“アメリカン筋肉バカ”が出てきたか!」と思っていましたが、イヤほんととすみません、『マジック・マイク』を見た今となっては渋谷のスクランブル交差点でマッパで土下座したい!くらいの気分。しませんけど。

本作は彼の自伝をもとに作品にしたもので、筋肉見せてるだけじゃなくプロデュースもしています。そして自伝ですから当然、彼はかつて本当にストリッパーだったんですね。つまり他の俳優たちと違い、彼の芸だけはホンモノなわけです。というわけで見所は当然ながらショーの場面。はい、ドン!

この画像だけで、後ろのふたりのダンスが下手だってわかりますねえ・・・
この画像だけで、後ろのふたりのダンスが下手だってわかりますねえ・・・

マジで腰砕け……恐ろしくステキです。おそらく皆さん、そろそろ気づいてると思いますが、私は個人的に男性の筋肉がすごく好きな人間です、って何のカミングアウトだって気がしますが、何が言いたいかっていうと、映画の中にある筋肉を常にチェックしているんです。その私が言う、こんなにバランスのいいキレイな筋肉ボディはなかなかお目にかかれません。『G.I.ジョー』の時の固太り軍人ボディからはずいぶん絞ったダンサーボディ。冒頭、「寝るときはマッパです」的に何の気なしにベッドから全裸で登場し、「ひゃあ!」となるものの、あまりに均整の取れた身体なのであんまりエロくないんです。ところがこれが舞台でダンスをすると、大事なんで二度言いますが、恐ろしくステキです。大興奮の女性編集者や女性ライターたちから「エロい!」の大合唱をなんど聞いたことか。

ですが冷静に考えてみると、冒頭以外は全裸になってないし、ビキニ1枚みたいな場面もそれほど長くはありません。じゃ何が女子をそんなにウットリさせるかといえば、やっぱりダンスなんですねえ。彼は映画デビューから『ステップアップ』というダンス映画で、普通にダンサーとして超一流で、ダンスですばらしくエロを表現できちゃうわけです。他の連中がぜんぜん踊れないだけに、この差は歴然。もちろん、なんでなんでなんでそんなエロい客いじりをしちゃうの!チャニング!って場面はあります。聞いてないかもしれませんが、私なら恥ずかしくて確実にチビるでしょう。その一方で、昼の世界でまっとうに働きたいと思っている素のマイクの、「優しくシャイで、マジメないいヤツ」感がまたいいんですね。全編に横溢する「セクシーボディ以外の俺も知ってほしい」という、チャニング自身の思いと重なっているわけです。

セクシーすぎるんで、お堅い女には振り向いてもらえません。
セクシーすぎるんで、お堅い女には振り向いてもらえません。

してみるとチャニングはこれまで「女が惚れちゃうボディ」を持っているばっかりに、女性観客を喜ばすための中途半端な作品で、つまんないキャラクターばかりやらされてきてた気がします。まあ言っちゃうと、『親愛なるキミへ』ではアマンダ・サイフリッドの、『キミへの誓い』ではレイチェル・マクアダムスの添え物でした。おっぱいが大きいばっかりに「頭の悪いおっぱいちゃん」ばっかり演じさせられる女優いますね、あの男版。そういう苦悩しまくった筋肉ボディが、この作品でバーンと花開いちゃってるわけです。私は声を大にして言いたい。この映画見てチャニング・テイタム好きにならない女は女じゃない!と。こちらで惚れた方は、16日公開のアクション『ホワイトハウス・ダウン』も楽しみにしてくださいー。

チャニング以外にも、モデル出身のアレックス・ペティファー、ドラマ「ホタイトカラー」のマット・ボマーなど、イケメン目白押し。そして誰より気炎を吐くマシュー・マコノヒーも、カッコいいんだか面白いんだかわかんない演技で楽しませてくれます。

ぷーっ!面白いってば、マシュー!
ぷーっ!面白いってば、マシュー!

アメリカの劇場はストリップクラブさながらの盛り上がりだったらしいですから、日本の劇場もそうなってると楽しいなあ。若い子は分からないと思いますが、J MEN'S世代のあなた、男の裸はついにマスな商売になったようです。

<公開表記>

シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマ、シネマカリテほか全国順次公開中

<コピーライト>

2012 The Estate of Redmond Barry LLC.All right reserved.

映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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