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サラマンダーズ、独立球界の「名門」・香川オリーブガイナーズのリベンジをはねつける【九州アジアリーグ】

阿佐智ベースボールジャーナリスト
4日のヒーロー。2安打1打点の髙山凌と3安打4打点の吉村裕基(火の国球団提供)

 7月に入ってから昨日までの九州アジアリーグ(KAL)は、停滞する梅雨前線による長雨の影響もあって予定されていた5試合のうち、1日に予定されていた四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズを臼杵市民球場に迎えての大分B-リングス戦と、8日木曜に山鹿市民球場で予定されていた公式戦がキャンセルとなった。

 香川オリーブガイナーズは、4月に続いて2度目の九州上陸。前回は火の国サラマンダーズに敗けたものの、B-リングス相手に1勝をあげた。老舗リーグで最多の優勝回数を誇る「名門」として、今回の遠征で勝ち越しにもっていきたいところだったが、初戦を雨で流した上、翌2日に熊本に移動して行われたサラマンダーズ戦では2対5でリベンジならず、今シーズンのKALとの交流試合を1勝2敗で終えた。

 この試合、サラマンダーズは初回に長短打3本を浴び、香川に先制を許すが、2回にこの回先頭の水本大志が四球で出塁すると、すかさず盗塁。その後、1アウトから7番浦木直人のセカンドゴロの間に三進すると、続く中島愛喜の打席の時にワイルドピッチで生還して1点を返した。その後4回、5回に四球に安打を絡めて1点ずつを取り逆転すると、7回には連続四球の後、この日指名打者に入った元DeNAの吉村裕基らのヒットで2点を取り試合を決めた。

 投げては、先発の宮澤怜士が2回から無失点で7回を投げると、その後は西島篤、ドラフト候補の呼び声高い石森大誠がバトンを受け継いだ。宮澤はこの試合でハーラートップとなる4勝目を挙げた。

2日の香川戦に先発し、4勝目を挙げた宮澤(リブワーク藤崎台球場、火の国球団提供)
2日の香川戦に先発し、4勝目を挙げた宮澤(リブワーク藤崎台球場、火の国球団提供)

なかなか越せないサラマンダーズの壁、B-リングスまたもや連敗

 先週末の土曜日曜は、リーグ公式戦が熊本で行われた。

 6月下旬の3連戦では、サラマンダーズ相手に初の連勝を飾り、地元・大分のファンを喜ばせたB-リングスだったが、熊本では見事にやり返された。それも1対14、7対10と大量得点を取られての敗戦は、夏場を迎えようとするこの時期に、早くも投手不足を露呈するかたちとなった。3日の試合では、すでに大差がつく中、8回にマウンドに登った長瀬勝嵩が10人連続で出塁(安打5、四死球5)を許すという大炎上。ホームベースでのランナー憤死でしかアウトを取れず、最後は野手の元DeNA・白崎浩之がマウンドに登って試合を終わらせた。白崎の登板は、この日で2度目。チーム防御率・5.12からは投手陣、とくにブルペン事情の苦しさがうかがえる。

 リーグ戦はこの連戦でほぼ折り返し地点の17試合を消化した(全36試合を予定)。勝敗はサラマンダーズの13勝4敗。このままだと、リーグ最終月である9月の声を聞く前にペナントの行方が決まってしまう恐れさえ出てきた。

 B=リングスには失礼を承知で、奮起を促す意味も込め、両球団間で「レンタル移籍」制度の提案を以前したが、何らかのかたちB-リングスの補強はせねばならない時期に来ているように思う。

 

 本日10日は、13時から大分県佐伯市の佐伯中央病院スタジアムで大分B-リングスが、ソフトバンク三軍を迎えて交流戦を行う。

ベースボールジャーナリスト

これまで、190か国を訪ね歩き、23か国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆のほか、NPB侍ジャパンのウェブサイト記事も担当した。プロからメジャーリーグ、独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌に寄稿の他、NTT東日本の20周年記念誌作成に際しては野球について担当するなどしている。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020、24カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。2024年春の侍ジャパンシリーズではヨーロッパ代表のリエゾンスタッフとして帯同した。

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