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大分B-リングス、公式戦本拠地初勝利。そして初の連勝。【九州アジアリーグ】

阿佐智ベースボールジャーナリスト
本拠地でのサヨナラ勝ちに沸くB-リングスナイン(大分B-リングス提供)

 ここ数回、「リーグ内格差」について書いてきたが、先週は大分B-リングスが意地を見せた。

 先週末から今週月曜にかけての九州アジアリーグ(KAL)は、リーグ公式戦を大分・別大興産スタジアムで開催したが、この3連戦でそれまで低迷を続けていた大分B-リングスが火の国サラマンダーズに2勝1敗と勝ち越した。

 19日土曜のナイターでは、2回に3点を先制されながらも、その裏に早速、開幕投手も務めたサラマンダーズ先発の宮澤怜士(東海大札幌)からこの日5番に入った山下海星(岐阜共立大)のホームランで1点を返すなど粘りを見せたが、5対2で敗戦。この時点で、両者のゲーム差は9とシーズン序盤にして逆転は絶望的なまでに広がってしまった。

2号ソロを放った山下(大分B-リングス提供)
2号ソロを放った山下(大分B-リングス提供)

 

 このままズルズルと敗戦を重ねるのかと思われたが、翌日曜の試合はB-リングスが意地を見せた。

 この日B-リングスは、エース・岡部峻太(中津東高)を立てたものの、初回に2番小窪哲也(元広島)への四球から3連打を浴び、サラマンダーズに3点を先制され、この日も序盤に勝負が決まったかのように見えた。

 しかし、この日のB-リングスは違った。岡部はその後立ち直り、7回まで追加点を許さなかった。8回に2点を失い、後続にマウンドを譲ることになるが、試合を作ったエースの力投に応えるべく、4投手が小窪、吉村裕基(元DeNAなど)ら「NPB組」擁するサラマンダーズの強力打線を封じ込めた。

 その投手陣の力投に打線も応え、4回にこちらも「NPB組」の白崎浩之(元DeNAなど)がレフトフェンス越えの2号ソロで1点を返すと、5回にも8番・渡邉武蔵(九州国際大)、9番廣沢新太郎(福工大城東高)の連続ツーベースで1点を追加。そして、サラマンダーズに2点を追加された8回には、その裏の攻撃で3安打を集め3点を追加し、ついに同点に追いついた。

2号ソロを放った白崎(大分B-リングス提供)
2号ソロを放った白崎(大分B-リングス提供)

 そして試合は9回では勝負がつかず、タイブレークの延長戦へ。

 10回からの攻撃は1死満塁から打順を選択できるが、サラマンダーズは迷わず2番小窪を打席に立たせた。しかし、小窪は期待に応えることができずファーストゴロで3塁ランナーがホーム封殺。続く途中出場の河添博司(多良木高)もライトフライに倒れ、得点には至らなかった。一方のB-リングスも3番白崎を打席に立たせたが、ショートゴロ併殺に倒れ、得点できず。

 11回の攻撃は、前のイニングで倒れた打者がランナーとなり、継続打順で攻撃が始まる。サラマンダーズはこの日2安打の4番、安井勇輝(近大)に期待が集まるが、ショートゴロ、サードランナー封殺。続く初回にツーベースを放っている高橋昌寛(岡山商科大)も三振に倒れた。

 そして11回裏、感動の瞬間が待っていた。この回先頭の4番山下の叩いた3球目は高々とセンターへ舞い上がり、サードランナーの1番打者花岡洋平(大分藤蔭高)がサヨナラのホームを踏み、B-リングスは本拠・別大興産スタジアムでの対サラマンダーズ戦初勝利を飾った。

 B-リングスは「公式試合」の交流戦では、4月13日の琉球戦で別大興産スタジアムでの初勝利を挙げているが、KALのリーグ戦である「公式戦」ではこの日の勝利が初めてだった。

試合後に表彰を受ける選手たち(大分B-リングス提供)
試合後に表彰を受ける選手たち(大分B-リングス提供)

 試合後のB-リングス廣田浩章監督のコメント。

「開幕からこれまでチームとして少しずつ力がついてきたかなと思える試合でした。まだまだ選手ひとりひとり課題はたくさんありますが、初回に3失点の後、追いついてサヨナラ勝ちできたことは、これまで以上に試合後半にピッチャーがしっかり抑え、チャンスで集中した攻撃が出来るようになってきたからだと思います。今後もひとりひとりが力をつけ、チームとしてレベルアップをして行きたいと思います。」

 勢いに乗ったB-リングスは、翌21日の試合も6対4でサラマンダーズに連勝。本拠、大分での3連戦を勝ち越した。これでB-リングスの勝敗は4勝11敗。サラマンダーズとのゲーム差も7に縮めた。

「ホリエモン球団」、クラウドファンディングで資金調達

 球団発足会見が話題を呼んだ「ホリエモン球団」・福岡北九州フェニックスだが、その後どうなっているのだろう。まずは、来年のリーグ参入に向けてスタッフ集めに必要な資金と運営費を集めなければならないのだが、槇原球団社長らスタッフは、現在スポンサー集めに奔走している。それに加えて、「ホリエモン球団」らしく、クラウドファンディングによる資金調達も行うことになった。目標金額は300万円。6月22日時点で49人から20万円を超える支援が集まっている。

 クラウドファンディングに付き物のリターンには、球団設立記念ステッカー(1000円)、記念Tシャツ(6000円)というグッズからホームページや試合時の掲示するボードへの名前掲載(それぞれ10000円、55000円)、元高校球児の槇原社長の「出張草野球助っ人」(ただし北九州市内のみ、20000円)などユニークなものまで取り揃えられている。このクラウドファンディングでは、年間契約のホームゲームでのボードへのロゴ掲載(22万円)、ユニフォームスポンサー(220万円)というスポンサー募集も同時に行っている。

オーナーの堀江氏とともにインタビューに臨む槇原球団社長(福岡北九州フェニックス提供)
オーナーの堀江氏とともにインタビューに臨む槇原球団社長(福岡北九州フェニックス提供)

 槇原・北九州球団社長のコメント

「私自身、高校球児だったこともあり、野球に育ててもらったという思いが強いです。野球を通して地域を盛り上げたい、野球をより身近なものとして感じてもらい、野球人口を広めていきたいと思っています。堀江の力も借りつつ、北九州から、全力で新しいことに挑戦していきたいと思います。」

ベースボールジャーナリスト

これまで、190か国を訪ね歩き、23か国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆のほか、NPB侍ジャパンのウェブサイト記事も担当した。プロからメジャーリーグ、独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌に寄稿の他、NTT東日本の20周年記念誌作成に際しては野球について担当するなどしている。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020、24カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。2024年春の侍ジャパンシリーズではヨーロッパ代表のリエゾンスタッフとして帯同した。

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