新型コロナショックから立ち直りつつある野球界。アメリカ独立リーグなど中小リーグはどうなっているのか。

北米独立リーグ最強と言われるアトランティックリーグ

 新型コロナの影響で中断、開幕延期となっていた国内のプロスポーツだが、先陣を切ってプロ野球・NPBが19日に開幕を迎えることになった。その一方で、海の向こうのメジャーリーグは開幕の目途がいまだ立たず、その傘下のマイナーリーグはシーズンのキャンセルが噂されている。またメキシカンリーグも、開幕へのゴーサインは出ていない状況だ。アメリカには、MLB傘下のマイナーリーグの他、独立リーグも地域の野球を下支えする存在として重要なポジションを占めている。その独立リーグの現在の状況について、ここではお知らせしたい。

北米独立リーグでは去年のオフに再編され、従来四大リーグと呼ばれていたリーグのうち、アメリカ、カナダ両国にわたって展開されていたカンナム・リーグが、「近代独立リーグ」最古参のフロンティア・リーグに吸収され、「三大リーグ」となった。このフロンティア・リーグ、そしてメジャーリーグのロースターの空きを狙う選手が集まり独立リーグ最強と言われるアトランティック・リーグ、それに次ぐ強豪リーグで2A級とも言われているアメリカン・アソシエーションはともに5月に予定されていた開幕を「延期」と発表したまま、その後の展望を明らかにしていない。

一方、近年その存在感を増していたのが、「アペンディックス(付録)・リーグ」とも呼ばれる「その他」の独立リーグだ。1990年代半ばに「近代独立リーグ」が各地で発足して以来、経営基盤の危うい弱小リーグがいくつも興亡を繰り返してきたが、2010年代以降、徹底した人件費の縮小(月200ドルという報酬は珍しくなく、ノーギャラの選手も多い)や、トライアウトを兼ねたシーズン前のキャンプを有料とするなど(つまりは契約選手になるために料金を支払う)、入場料収入に頼らないビジネスモデルを構築したリーグがその経営を軌道に乗せている。

 日本のある独立リーグ関係者の話では、こういうリーグは、メジャー傘下のマイナーや3大独立リーグのシーズンがキャンセルされれば、そこから選手を集めるチャンスができるため、開幕の見込みは高いのではということだったが、やはり新型コロナ禍の中、開幕は難しいようだ。

 アペンディックス・リーグ中でも比較的試合興行に重きを置いているのが、サンフランシスコ周辺に展開されているパシフィック・アソシエーションだが、このリーグもやはり現在のところ開幕の目途が立っていない。また、今年で10年目を迎え、古参リーグとなったテキサス、ニューメキシコ州からカリフォルニア州に展開されるペコス・リーグも、リーグ全体としては開幕に向けた方針をいまだ明らかにしていないものの、いくつかの球団はすでに今シーズンのキャンセルを発表している。

 アメリカ北東部で活動している育成重視のエンパイア・リーグもいまだ開幕について何の発表もしていないが、移動距離を縮めるため、各チームを同じエリアに集めてシーズンを実施するプランなどを検討中のようだ。スポンサーとシーズン前の有料キャンプが収入の柱で、上位独立リーグ、マイナーリーグへの選手送出に重きを置いているこのリーグにとっては、試合の実施が最優先事項である。その意味では日本の独立リーグに似ていると言っていいだろう。しかし、収入の柱であるキャンプを実施しないことには、このリーグも始めることはできない。

 面白いのは、ミシガン州のユナイテッドショア・リーグで、開幕の目途は立っていないものの、一部球団では、ホーム球場の売店をビアガーデンとして開場し、営業を始めている。独立リーグ球団も一企業。スタッフを養うためには、とにかく何かをせねばならないのだ。

 目をアジアに転じると、「世界最速」で無観客での開幕を迎え、現在は観客も受け入れるようになった台湾、それに続いて開幕した韓国、そしてNPBと着実に「脱コロナ」への道を歩んでいる。

 その中でいまだ開幕が発表されていないのが、昨年スタートした中国プロ野球リーグだ。社会主義を表向きは堅持しているこの国では、プロスポーツを含むあらゆる産業は共産党政府の「お目こぼし」のもと、一定の経済活動を認められている状態だ。新型コロナの収束を宣言したものの、今回のコロナ騒動の発祥の地とあって、第二波を恐れてか、野球だけでなく、スポーツイベントは今のところ許可されていないのが現状である。この国最大の人気スポーツ、サッカーでさえ、いまだ再開が認められていない中、プロ野球の開幕の見通しは立っていない。

 

 各国、各々の事情からプロスポーツの状況はまちまちだが、人類史上まれにみる厄災を前にして、スタジアムに活気を戻そうとしている。スタジアムが笑顔で満たされるとき、我々はコロナに打ち勝ったことを実感することだろう。今はその日が来ることを願いながら、画面越しに「球音」を楽しみたい。