シリア:コロナ禍での外出・移動制限の中、アメリカの高官がラマダーン初日に現地を訪れイフタールに興じる

ANHA、2021年4月13日

ラマダーン到来とコロナ禍の規制強化

シリアは4月13日、ラマダーン初日を迎えた。例年であれば、多くの市民が、イスラーム教の教えに従って、日の出から日没まで断食(サウム)を行い、日没後の食事(イフタール)、家族、友人との団欒の一時を楽しむ。

だが、今年のラマダーンも、昨年と同様、コロナ禍で人々の行動は大幅に制限されている。

シリアでは3月下旬から新型コロナウイルス感染者数が再び増加した。感染拡大は、クルド民族主義勢力の民主統一党(PYD)が主導する自治政体の北・東シリア自治局の支配下にある北部および東部で顕著である。同自治局は4月6日から12日までの1週間、政府との共同統治下にあるハサカ県のカーミシュリー市、ハサカ市、ラッカ県のラッカ市での部分的な外出・移動規制を発動した。また、この措置によっても感染者数の減少が見られなかったことから、ラマダーンに合わせて、4月13日から4月22日までの10日間、今度は支配地全域での全面的な外出・移動規制を発動した。

シリア政府も、フサイン・アルヌース内閣が4月4日、各省に対して生産活動と公共サービス提供に影響を及ぼさない範囲内で、就業時間を短縮するよう文書で指示、ラマダーン月に合わせてこの措置を延長することを決定した。また、感染者数が多いとされるダイル・ザウル県も4月5日、葬儀場、結婚式場を閉鎖、喫茶店、シーシャ・カフェ、レストランの営業を停止することを決定した。

米高官がシリアを訪問

市民生活が大きく制限されるなか、PYDに近いハーワール・ニュース(ANHA)は4月13日、デヴィッド・ブラウンタイン米国務省シリア問題担当副特使がシリアを訪れ、北・東シリア自治局とシリア政府の共同統治下にあるハサカ県のマーリキーヤ(クルド語名は「ダイリーク」)市を訪問し、地元の部族長や名士と会談した、と報道した。

ANHA、2021年4月13日
ANHA、2021年4月13日

米国は、イスラーム国に対する「テロとの戦い」と油田防衛を口実に、北・東シリア自治局の支配地各所に違法に基地を設置し、部隊を駐留させている。北・東シリア自治局が、PYDを「分離主義テロリスト」とみなすトルコ、全土掌握を主唱するシリア政府、そしてロシアの軍事的・政治的攻勢を回避できているのは、米軍が後ろ盾になっているためだ。

会談には、北・東シリア自治局の傘下で活動する部族名士評議会のハワース・ジャディーア総合調整役、スィナーン・サイドーシュ報道官、ユースフ・イスハーク、東部地区部族名士委員会のムサーイド・ズーバイー、サーリフ・アフマド、旧モスク・イマームのマアスーム・ダイルシャウィー・ダイリークらが参加した。

ラマダーン初日に合わせて、シリアに不法入国したブラウンタイン副特使は、会談に先だってイフタールを振る舞われ、部族長、名士らと食事をともにした。

その後、政治、経済問題について意見を交わした。

ANHA、2021年4月13日
ANHA、2021年4月13日

名士らは、北・東シリア自治局の支配地がトルコとその支援を受ける「テロ組織」(シリア国民軍のこと)の攻撃、インフラ破壊、略奪といった脅威に晒されているとしたうえで、米国にシリア北部上空を飛行禁止地域に指定し、戦闘再発回避に尽力するよう求めた。

これに対して、ブラウンタイン副特使は、今回の訪問の目的が、出席者の考えや提案に耳を傾け、これを政府に報告するとともに、クルド人民兵組織の人民防衛隊(YPG)を主体とするシリア民主軍のマズルーム・アブディー総司令官や北・東シリア自治局との協議を通じてすべての人に奉仕し得る政体を樹立することだと述べた。

ブラウンタイン副特使はまた、経済危機への対処を通じて、政治問題を進展させたいと付言した。

シリアでの感染状況

ブラウンタイン副特使がイフタールに興じたマーリキーヤ市では4月13日、そのほかの北・東シリア自治局支配地と同様、全面的な外出・移動規制が敷かれ、人の移動はまばらだった。

シリア政府(保健省)の発表によると、4月13日現在の政府支配地域での新型コロナウイルス感染者数は20,435人、死者数は1,392人、回復者数は14,230人。

SANA、2021年4月13日
SANA、2021年4月13日

一方、北・東シリア自治局(保健委員会)の発表によると、4月11日現在の支配地内での感染者数は12,236人、死者数は422人、回復者数は1,365人。

ANHA、2021年4月11日
ANHA、2021年4月11日