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この糸くずのような奇妙な生物の正体は?都心の公園にも結構多いナナフシ。幼虫発生の季節到来

天野和利時事通信社・昆虫記者
擬木柵の上にいた孵化直後のナナフシモドキ幼虫。まるで糸くずのような姿だ。

 4月初めになると、公園の木柵や手すりの上などで、1センチほどの糸くずのような生物をよく見かけるようになる。極細の針金細工のようでもあるこの物体をよくよく見ると、胴体らしき細長い部分から、さらに細長い脚が6本伸びている。

 この生物は、孵化したばかりのナナフシの仲間(大抵は一番普通種のナナフシモドキ)の幼虫だ。

 ナナフシモドキの幼虫たちは、サクラ、エノキ、ケヤキなどの木に登って、若葉を食べようと思っていたのかもしれない。つまり、木柵などの上にいる幼虫は、道に迷ってどうしていいか分からず、ウロウロしている状態だ。

道に迷ってウロウロしているナナフシモドキ幼虫。
道に迷ってウロウロしているナナフシモドキ幼虫。

 ナナフシを珍しい虫だと思っている人が多いかもしれない。しかし実際にはナナフシ(特にナナフシモドキ)は、都心の公園にもたくさんいる虫だ。

 大きくなるにつれて、天敵などに捕食されて数が減る上、木の枝などに擬態する技が巧妙化してくるので、見つけるのが難しくなる。つまり、ナナフシを一番見つけやすい季節は、小さい幼虫がうじゃうじゃいる4、5月ということになる。

 木柵などの上をうろついていた小さな幼虫はその後、低い位置にあるサクラ、エノキなどの小枝に移動して若葉を食べる。その段階の幼虫は、若葉の葉脈のように見えるため、少し見つけにくくなる。

若葉の上にいるナナフシモドキ幼虫は、葉脈と見間違いそうだ。
若葉の上にいるナナフシモドキ幼虫は、葉脈と見間違いそうだ。

サクラの葉の上のナナフシモドキ幼虫。
サクラの葉の上のナナフシモドキ幼虫。

ナナフシモドキとは雰囲気がかなり違うトゲナナフシ幼虫。背景は指先。
ナナフシモドキとは雰囲気がかなり違うトゲナナフシ幼虫。背景は指先。

 とは言え、生息数の多い公園なら、目の前の枝にたくさんいるので、擬態を見破るのはわりと容易だ。

 しかし都心ではどの公園にいるのかと問われると、答えに迷ってしまう。少し大きな公園なら、どこにでもいるからだ。それでもあえて例を挙げるなら、昆虫記者がよく遊びに行く東京都心の無料の公園、緑地の中では、葛西臨海公園、夢の島公園、皇居周辺、代々木公園、林試の森公園などにも多い。

 春風に誘われて新緑の公園に出かける際には、糸くずのような不思議な姿のナナフシ幼虫を探してみてはどうだろうか。

(写真は特記しない限りすべて筆者=昆虫記者=撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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