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テントウ虫?いえいえ、イモムシの頭部です=アオバセセリ幼虫はアクセサリーにしたい可愛さ#イモムシ

天野和利時事通信社・昆虫記者
アオバセセリ幼虫の頭部はまるでテントウ虫。

 昆虫記者はアオバセセリの幼虫をかたどったイモムシ・ストラップをバッグにぶら下げている。アオバセセリの幼虫はそれほど可愛い。

 この幼虫は、アワブキなどの葉の一部分を巻き、楽器のオカリナに似た穴開きの隠れ家を作って、その中に潜んでいることが多い。アオバセセリ幼虫を探す際には、この不思議な形状の巣が目印になる。

 この巣をそっと開いて、中からテントウ虫そっくりのアオバセセリ幼虫の頭部が見えると嬉しくなる。アオバセセリ幼虫は、縞々模様に青い星を散らしたような胴体も可愛い。こんなに美しい姿なのに、昼間はたいてい巣の中に隠れているのは、もったいない気もする。

アオバセセリの大きな幼虫は、縞模様の間に青い星を散らしたような姿になる。
アオバセセリの大きな幼虫は、縞模様の間に青い星を散らしたような姿になる。

頭部が黄色いアオバセセリの小さな幼虫も可愛い。
頭部が黄色いアオバセセリの小さな幼虫も可愛い。

オカリナに似た形状のアオバセセリ幼虫の隠れ家。
オカリナに似た形状のアオバセセリ幼虫の隠れ家。

 そんな美貌の幼虫を見つけるには、まずアワブキの木を探す必要がある。ところが、このアワブキという木は、それほど多くない。郊外の大きな公園でも、1~2本見つかればラッキーなくらいだ。

 しかし、逆に言えば、自然豊かな郊外の公園や山道でこの木を見つけさえすれば、アオバセセリの幼虫に出会える確率はかなり高くなる。

 「イモムシ探しは植物を知ることから」という名言(昆虫記者が勝手に作成)は、アオバセセリの幼虫探しの鉄則でもある。

蛹化直後のアオバセセリの蛹。幼虫時の模様が残っていて芸術的。
蛹化直後のアオバセセリの蛹。幼虫時の模様が残っていて芸術的。

アオバセセリの蛹は時間が経つと、こんな白い姿になる。
アオバセセリの蛹は時間が経つと、こんな白い姿になる。

 非常に地味なものが多いセセリ(蝶)の仲間の成虫の中で、アオバセセリは際立って美しいので、成虫も是非探してほしい。

 アワブキにはスミナガシという蝶(この成虫もなかなか魅力的)の幼虫もいる。アワブキは、蝶好き、イモムシ好きにとっては、まさに宝の木だ。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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