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イモムシ女子に人気のビックリ目玉=アケビコノハ幼虫#イモムシ

天野和利時事通信社・昆虫記者
2匹並んだアケビコノハの幼虫。アケビの茂みでこの目玉模様に出会うとドキッとする。

 成虫の枯れ葉擬態で有名なアケビコノハという蛾は、幼虫もまた魅力的だ。背中に大きな目玉模様を、左右2対、計4つ配置したその姿は、イモムシ好きの女子の間で特に人気が高い。背中の目玉模様部分と三角形のお尻を突き上げた奇妙な姿勢が、この幼虫の得意ポーズだ。

 このポーズは恐らく、天敵に対する威嚇姿勢なのだろう。アケビの茂みの中で、この姿に出会った鳥は、蛇に睨まれたのかと慌てふためき、逃げていくかもしれない。

アケビコノハ幼虫の得意ポーズは、背中の目玉模様とお尻を突き上げたこの姿勢。
アケビコノハ幼虫の得意ポーズは、背中の目玉模様とお尻を突き上げたこの姿勢。

アケビコノハ幼虫の奇妙な姿を見ると、前から、上から、横からと、写真を撮りまくりたくなる。
アケビコノハ幼虫の奇妙な姿を見ると、前から、上から、横からと、写真を撮りまくりたくなる。

 幼虫の色彩は、基本的にダークブラウンと緑の2種類。ダークブラウン系の方が、目玉模様に迫力があり、全体の柄も美しいと思う。

 天敵撃退効果があると思われるビックリ目玉模様は、虫好き、イモムシ好きの目には可愛いアクセント、愉快な芸術作品と映る。イモムシ女子の中には、この幼虫を見つけるとキャーキャーと歓喜の叫びを上げる者もいる(虫嫌い女子には絶対理解できない行動だ)。

 虫撮りが趣味の人々がこの幼虫を見つけると、前から、上から、横から、あらゆるアングルの写真を撮りまくる。素敵なプロポーションのモデルさんを前にして「いいね、いいね、そのポーズ」などと言いながらシャッターを切りまくるファッションカメラマンも、きっと同じような気分なのだろう(だいぶ違うかも)。

アケビコノハ幼虫の色彩は、基本的にダークブラウンと緑の2種類。茶色系が多いように思うが、緑系は葉と同じ色で見つけにくいだけかもしれない。
アケビコノハ幼虫の色彩は、基本的にダークブラウンと緑の2種類。茶色系が多いように思うが、緑系は葉と同じ色で見つけにくいだけかもしれない。

 道端のアケビやムベ(アケビ科植物)の茂みの下に、イモムシの糞がたくさん落ちていたら、緑の葉の中にきっとアケビコノハの幼虫がいる。そして、もしこのビックリ目玉の幼虫を見つけることができたら、あなたはきっとイモムシ好き(またはイモムシ恐怖症)になるだろう。(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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