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こんな指輪が欲しかった?梅の小枝の素敵なリングはオビカレハの卵=真冬の昆虫芸術⑨

天野和利時事通信社・昆虫記者
梅の小枝にこんな素敵な指輪をはめたのは誰?

 梅の小枝をぐるりと取り巻く、凝った細工のリングは、真冬によく見つかるオビカレハの卵だ。早咲きの梅の花見もいいが、この卵を見つけたら、花見ついでに、その精緻なつくりを是非鑑賞してほしい。しかし「なんて素敵な指輪なんだろう」と見とれて放っておくと、春になって大変な事態を引き起こす。大量の毛虫が発生して、梅の木が丸坊主になることもある。

オビカレハの卵の凝ったつくりは芸術の域。
オビカレハの卵の凝ったつくりは芸術の域。

人の指輪にするには、ちょっと小さすぎる。
人の指輪にするには、ちょっと小さすぎる。

 オビカレハの幼虫は、梅、桜、バラなどの害虫で、通称「梅毛虫」。春先には、枝の股の部分に糸で幕を張って、その中に群がっている姿をよく見かける。このため、天幕毛虫などと呼ばれることもある。

 カレハガの仲間の幼虫には、毒毛虫が多いが、オビカレハの幼虫には毒はないとされているので、安心して成長を見守ってほしい(などと言うと、園芸家から大バッシングが予想されるので、梅農家、バラ園などの方々には積極的駆除をお勧めしたい)。小さい毛虫の密集状態が気味悪い上に、甚大な被害を及ぼす場合もあって、園芸家にはひどく嫌われている毛虫でもある。

 しかし、大きくなった幼虫は、青地に黄色の筋が入ったカラフルな装いで、そこそこ見栄えのいい毛虫の部類に入るかもしれない(などと思うのは虫好きだけ)。

大きくなったオビカレハ幼虫の柄は結構きれいだ。
大きくなったオビカレハ幼虫の柄は結構きれいだ。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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