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秋が見頃の日本最小、1円玉サイズのカマキリ「ヒナカマキリ」を探そう。都心でもチャンスあり。

天野和利時事通信社・昆虫記者
1円玉上のヒナカマキリ雌成虫(左)と指に乗せた幼虫(右)。

 日本最小のカマキリとして有名な1円玉サイズの「ヒナカマキリ」は、都心にも生息している。しかし、あまりにも小さいので、その存在に気付く人は少ない(と言うか、関心を持つ人がほとんどいない)。しかも、普段は下草の茂みなどに隠れていて、体色が土色なので、余計に見つけにくい。

 そんなヒナカマキリを比較的簡単に見つけられる場所は、何と公園のトイレ。産卵のため雨風にさらされにくいトイレの天井や軒下にやってくる10~11月が発見のチャンスだ。ただし、男性が女子トイレ、女性が男子トイレに入るわけにはいかないので、男女ペアで探すのがお勧め。

オミナエシの花の上のヒナカマキリの雌成虫。こんなところにいることはめったにない。
オミナエシの花の上のヒナカマキリの雌成虫。こんなところにいることはめったにない。

都心の公園の男子トイレにいたヒナカマキリ。公園のトイレは穴場。
都心の公園の男子トイレにいたヒナカマキリ。公園のトイレは穴場。

ほっそりしたヒナカマキリの雄。
ほっそりしたヒナカマキリの雄。

 その存在があまり知られていなかった頃には、雄が全く、ないしほとんど存在せず、単為生殖すると言われたこともあったようだ。しかし、目を皿のようにしてよくよく探すと(よほどの暇人でないとそんなことはしないが)、雄も結構見つかるし、交尾中のカップルも時々見かける。つまりヒナカマキリは、誰も本気で探そうとしないが、探せば結構多いカマキリなのである。

 「日本最小」のサイズを際立たせるには、1円玉の上を歩かせるのがいい。結構素早いので、なかなか1円玉の上にとどまってくれないが、1円玉をたくさん並べておけば、そのどれかの上を通る際にバッチリ写真が撮れる。

交尾中のヒナカマキリのカップル。雄はその後、雌に首を切り落とされ、食べられてしまった。
交尾中のヒナカマキリのカップル。雄はその後、雌に首を切り落とされ、食べられてしまった。

1円玉の上のヒナカマキリを撮るコツは、1円玉をたくさん並べること。
1円玉の上のヒナカマキリを撮るコツは、1円玉をたくさん並べること。

 5ミリ程度の大きさのヒナカマキリの卵鞘(卵が詰まった入れ物)は、これまた目を皿のようにして探すと、真冬に結構たくさん見つかる。後ろの方が寝ぐせの髪型のようにピンと突き出た特徴的な形は、見間違うことがない。

 孵化したばかりの幼虫は、さらに極小なので、指先に乗せると、ガリバー旅行記の小人のようで、これまた面白い。

ヒナカマキリの特徴的な卵鞘。
ヒナカマキリの特徴的な卵鞘。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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