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ウクライナと共に立つ(支持する)虫たち

天野和利時事通信社・昆虫記者
ウクライナ国旗を身にまとったような姿のハグロハバチ幼虫

 ウクライナの人々の惨状を日々目にして、自分も彼らのために何かできないかと考えた人は多いでしょう。虫撮り以外何もできない昆虫記者も、ウクライナのニュースを見るたびに、そんなことを考えていました。

 「でもな、やっぱり何もできないよな」なんてつぶやきながらテレビを見ていると、何十メートルもありそうな、長いウクライナ国旗を大勢で引っ張りながら、反戦とウクライナ支援を訴えるデモの様子が、ニュースで流れました。青と黄色のウクライナ国旗を振る人、国旗色の服を着た人の姿が目立ちます。

 こんな風に、ウクライナ支持の意思表示をするだけでも、何か役に立つのかも。長い長い青と黄色の旗を見ていて、「そういえば、こんな虫の写真を撮ったことがあったな」と、古い記憶が蘇りました。「あれは何だったかな。そうだ、晩秋に撮ったハグロハバチの幼虫だ」。

ハグロハバチの幼虫はスイバなど雑草の葉裏にたくさんいる。
ハグロハバチの幼虫はスイバなど雑草の葉裏にたくさんいる。

 ハグロハバチの幼虫は、スイバ、ギシギシなどの雑草の葉裏に山ほどいますが、鮮明な青色のものは少ないようです。寒い季節ほど青くなる気がします。

 新型コロナの流行が続く中、デモの集団に入るのはためらわれるけれど、虫の写真でも「ウクライナ支持」の意思表示はできるかも。「芋虫の写真でウクライナ支持だなんて不謹慎」と怒らないでください。昆虫記者にできるのは、せいぜいこの程度のことだけです。

 「昆虫界もウクライナを応援」なんてはずはありませんが、最悪の環境破壊でもある戦争には、昆虫界も反対のはずです。昆虫界も平和を望んでいるはずです。

 ついでに、ウクライナ国旗色のほかの虫の写真も探してみました。結構色々いるものです。

ツマグロオオヨコバイも、ウクライナ国旗色のどこにでもいる雑虫。
ツマグロオオヨコバイも、ウクライナ国旗色のどこにでもいる雑虫。

アオイラガの幼虫
アオイラガの幼虫

ヒロヘリアオイラガの幼虫
ヒロヘリアオイラガの幼虫

甲虫にはウクライナ国旗色のものが意外に少ない。ベニカナメモチに多いルリカミキリ。
甲虫にはウクライナ国旗色のものが意外に少ない。ベニカナメモチに多いルリカミキリ。

 またまたついでに、通販で「I STAND WITH UKRAINE」(ウクライナと共に立つ、ウクライナを支持するという意味です)パーカーを買いました。売上高の一部でもウクライナに寄付されたらいいなとか思いながら。

ウクライナ支持のパーカー。春の虫撮りにちょうどいい感じ。
ウクライナ支持のパーカー。春の虫撮りにちょうどいい感じ。

 これからの春の虫撮りには、このパーカーを着て行こうと思います。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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