クリスマスは真冬のテントウ虫のおしくらまんじゅうを見に行こう
真冬と言えば、テントウ虫の「おしくらまんじゅう」が見頃。と言っても、虫好き以外の人々にとっては、何のことやら。あの小さなテントウ虫(主にナミテントウ)が、成虫で集団越冬するのを知っている人は、都会では少ないかもしれない。
狭い隙間や、野外公衆トイレの天井の片隅などで、押し合いへし合いながら越冬している姿は、まさに暖を取るための「おしくらまんじゅう」。でも、そもそも今時「おしくらまんじゅう」をする子供たちなんているのだろうか。コロナ禍では、禁止されそうな遊びだし、もはや死語に近い言葉かも。「押されて泣くな。あんまり押すとあんこが出るぞ」なんていう、続きの歌詞を知っている人はいないかも。
日本のテントウ虫の中で、大集団で越冬するのはナミテントウだ。その集団の中に時々大型のカメノコテントウが紛れ込んでいることもある。不思議なことに、数の多いナナホシテントウが、この集団に加わっているのは見たことがない。ナミテントウとナナホシテントウは、大きさ、餌(主にアブラムシ)、生息環境が重なるライバルなので、仲が悪いのかもしれない。ナナホシテントウは、草の根本や落ち葉の中で、単独で越冬することが多いようだ。
そんなことを言うと、テントウ虫の越冬集団の中に、「ナナホシみたいなのがたくさんいた」という報告が殺到するかもしれない。でもそれは、ナナホシテントウではなくて、ナナホシ風のナミテントウ。
ナミテントウは黒地に赤い点2つというのが多いが、黒地に赤い点をたくさんちりばめたものや、赤地に黒い点をたくさんちりばめたもの(これがナナホシに似ている)、ほぼオレンジ一色のもの、目玉模様のものなど、その模様は多種多様。それだけに、越冬集団になると、クリスマスイルミネーションのように華やかになることもある。(写真は特記しない限り、過去記事を含めすべて筆者撮影)