福知山線事故と赤木さんの記事の読者層を比べてわかること~男女・世代間格差を乗り越えよう

新婚旅行でローマの“真実の口”に仲良く手を入れる赤木さん夫婦(妻提供)

 4月25日の夜、私は次の記事をYahoo!ニュースに出した。

15年前のきょう起きたこと~死者107人の福知山線脱線事故はなぜ「犠牲者106人」と言われるのか?

https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20200425-00175270/

 この日は福知山線脱線事故から15年の日だった。当時、取材を担当した者として、どうしても出したい記事だった。Yahoo!ニュースには「読まれやすい時間帯」というものがある。朝の通勤時、お昼休み、夕方の退勤時以降。早朝深夜は当然ながらあまり読まれない。そして、記事は出した直後が一番読まれ、時間がたつにつれ読まれなくなる。だから早めに記事を出したかったが、他の仕事に追われてなかなか出せず、夜10時近くになってしまった。

 普通なら翌朝以降に出稿を延ばすところだが、私は事故から15年のこの日のうちに何としても出したかった。それが亡くなった人たちやご遺族への礼でもあると思った。だから、あまり読まれないことを覚悟で、この時間に出した。

時間がたっても読まれる記事

 それから2時間、日付けをまたいだところで、どのくらい読まれているかを確認した。ヤフーに登録が認められた個人の執筆者が書く「Yahoo!ニュース個人」は、どのくらいの方が読んでいるのか、執筆者にはリアルタイムに近い早さでわかるようになっている。

 この記事は、その時点で1万2000人余りの方に読まれていた。土曜日の夜遅く、わずか2時間でこの読者数。

「この時間帯にしては上出来だな。関心を持ってくださる方が多いんだな」とありがたく感じた。

 その翌日は日曜日。日曜日がすぎて月曜日になったところで読者数を見た。すると、11万人を超えているではないか。前日の記事がこれだけ読まれる。しかも報道もコロナ一色と言ってよいこの時期に、コロナとまったく関係のないこの記事が。

 この原稿を執筆している27日午後6時すぎの時点では、16万人を超えている。それ以上に読まれた記事はこれまで10本ほどある。一番多かったのは赤木俊夫さんの手記を週刊文春に掲載した3月18日に出した《「佐川さんもかわいそう…」森友事件改ざんで財務省職員自殺 妻が佐川氏と国をきょう提訴》という関連記事で、140万人を超えた。

https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20200318-00168352/

安倍昭恵さんと籠池夫妻。問題の国有地前で(関係者提供)
安倍昭恵さんと籠池夫妻。問題の国有地前で(関係者提供)

 だが、時間がたっても読まれるというのは、また格別のありがたさがある。それだけ多くの方に共感して頂けたのだろう。

福知山線事故の読者は若者・中年層が多い

 ところで「Yahoo!ニュース個人」の記事で執筆者にわかるのは読者数だけではない。読んでいる方の性別、年代別もわかるのである。

 それを見ると、この記事の読者は性別は男女がほぼ半々。そして年代別では40代が最も多く30%余り。次いで30代、50代、20代の順になっている。60代以上の方は10%に満たない。

 つまり、この記事は若者から中年層の「勤労世代」が関心を持っていて、リタイアした方が多い高年齢層の方にはあまり関心を持たれていない、ということが言えるだろう。そして、性別には関係なく関心を持たれていると。

 では、私が先ほど「読者が最も多かった」と例示した赤木さんの記事はどうだっただろう? 性別は、男性が7割、女性が3割。年代別では、最も多いのは同じ40代だが30%には届かず、ほぼ同じ割合で60代以上が続くのである。次いで50代、30代と続く。

 性別がやや男性に偏っていること、世代的には福知山線事故に比べ高齢層に傾いていることがわかる。

男性と高年齢層に偏る森友記事の読者

 これが森友関連記事一般となると、さらにその傾向が顕著になる。例えば私は先の赤木さんの記事の2日後に《“日本一の親不孝者” 籠池佳茂氏は 森友事件を何も知らない》という記事を出した。

https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20200320-00168760/

”何も知らない”籠池佳茂氏。父を呼び捨てにして非難(撮影・相澤冬樹)
”何も知らない”籠池佳茂氏。父を呼び捨てにして非難(撮影・相澤冬樹)

 赤木さんのことを書いた記事に対し、森友学園の籠池前理事長夫妻の長男がけしからん騒ぎ方をしていたので鉄槌を下したのだが、内容は赤木さんとはほぼ無関係で、まさに「森友関連ネタ」。40万人以上の方に読んで頂いた。

 この記事を出した日の読者層は…性別は男性7割以上、女性3割未満。年代別の最多は60代以上で30%台後半、次いで40代、50代。

 それでもこの日は、前日に出した赤木さんの妻の《「悲しすぎる…」森友で自死職員の妻 麻生財務相「再調査せず」発言に》という記事と、その前日の提訴日の記事を合わせると、籠池佳茂氏の記事と同じくらい読まれている。赤木さん関連記事が女性や若者にもある程度読まれているとしても、合わせるとこの数字になる。

https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20200319-00168661/

 これが赤木さんの提訴より前となると、もっと顕著だ。例えば去年4月20日に出した《安倍首相演説 籠池氏に向けられた“妨害” ~政権批判の聴衆恫喝も~》という記事は30万人以上の方に読まれたが、読者層は驚きの結果だ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20190420-00123122/

●性別…男性8割以上、女性2割未満

●年代別…60代以上が半数以上、次いで50代が20%ギリギリ。以降、世代が若くなるにつれて読者が減っている。

 この傾向は前からほぼ変わらない。つまり、森友事件に関心のある方は60代以上の男性に著しく偏っている女性と若い世代には関心を持たれていない

安倍首相の演説を見守る籠池夫妻(撮影・相澤冬樹)
安倍首相の演説を見守る籠池夫妻(撮影・相澤冬樹)

森友事件が2度も忘れられた理由は男女間・世代間格差だ

 森友事件は、3年前の国有地値引き発覚時と、2年前の公文書改ざん発覚時、いずれも一瞬火が付いたものの、いずれもいつのまにか沈静化した。世間に2度も“忘れられた”のはこのことが大きいと、私は考えてきた。森友事件の火が消えたのは、男女間・世代間格差の問題だったのだ。

 女性と若い世代に関心を持って頂けなければ、その問題は世の中の大きなうねりにならない。その女性と若者にそっぽを向かれているのだから、いくら「団塊オヤジ世代」の方が声を上げても、世の中はついていかない。

 だから、女性と若い世代にいかに関心を持って頂き、読者を増やし、問題を理解して頂こうかと心を砕いてきた。女性や若い世代の関心をひくネタはないか考えてきた。だがいかんせん、私自身が57歳で「団塊オヤジ世代」に近いこともあって、なかなかうまくいかずにきた。

 そんな森友関連記事にあって、赤木さんの話は他とは大きく異なる点がある。理不尽なことで夫を亡くした妻が、真相を知りたいと訴えている。国からあまりな仕打ちを受けながら、それに負けずに闘おうとしている。この話に男女差も世代差もない。だから女性や若者にもかなり支持されている。

 森友は今、3度目の関心の高まりを見せている。赤木さんの勇気ある決断のおかげで。それを無にしてはならない。今度こそ火を消してはならない。赤木さんの願いをうやむやにさせてはならないのである。

 だから私は安倍首相を支持する方、自公支持者の方々に訴えている。安倍首相が無関係だと立証するチャンスです。ぜひ赤木さんが望む再調査をしましょう。それをしないと「調査したらヤバいんだろう」と勘ぐられるだけですよ。だから再調査するように自民・公明両党に伝えてくださいと訴えている。党のウェブサイトには市民のご意見を受け付けるページがある。

自民党https://www.jimin.jp/voice/

公明党https://www.komei.or.jp/etc/contact/

根深い男女間・世代間格差を乗り越えて

 話を最初の福知山線脱線事故の記事に戻す。この記事の読者が男女半々に近いのはわかるが、なぜ世代的に偏りがあるのだろう? 森友ネタとは逆に、比較的若い世代が関心あるのに、高年齢層はあまり関心がない。

 福知山線の事故は朝9時18分に起きた。乗客の多くは通勤通学の人だった。だから犠牲になったのも若い世代が多かった。亡くなった運転士も若かった。たしか20代前半だったと思う。だから通勤通学をする「勤労世代」は「我がこと」として関心が高く、一方で通勤にもはや縁のない高年齢層は関心が低いのではないか?

 だが、亡くなった方々のご遺族は、高齢の方も多いはずである。そこに思いをはせれば、これは誰にとっても「我がこと」なのだ。こういうところにも世代間格差が現れている。

 この国が真に美しい国、日本になるには、こうした世代間格差、男女間格差を乗り越えていかなければならない。男女差世代差を超えた「連帯」が今こそ必要だ。コロナでも、事故防止でも、そしてもちろん、赤木さんの願う真相解明でも。

【執筆・相澤冬樹】

このお2人に再調査を求めよう(Getty Images)
このお2人に再調査を求めよう(Getty Images)