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コロナ鎮静祈願!霊場巡礼代参に賛同しませんか?

コロナ鎮静祈願で薬師寺を巡礼した陸奥賢さん(本人提供)

 4月21日朝9時。白と無地の巡礼服に身を包んだ一人の男性が大阪を出立した。陸奥賢さん

「すがすがしい朝ですね。晴れにも恵まれましたし、これも吉祥でしょう」

 彼は「コロナ鎮静」を祈願し、西国四十九薬師霊場を巡礼すると発願した。感染拡大を防ぐため、マイカーで、孤独に、たった一人で。

 だが彼は本当の意味で一人ではない。賛同してくださる方々に代わってお参りし、お賽銭を納め、コロナ鎮静を祈る。これは我が国に江戸時代から連綿と伝統のある「代参」なのだ。題して「コロナ沈静祈願!西国四十九薬師霊場巡礼代参プロジェクト

 プロジェクトのイベントページはこちらで見ることができる。

https://www.facebook.com/events/255781732487138

 霊場の中には閉鎖しているところもある。その場合は門の外からそっとお参りする。

「コロナ沈静祈願!西国四十九薬師霊場巡礼代参プロジェクト」イベントページの背景画像(陸奥賢さん提供)
「コロナ沈静祈願!西国四十九薬師霊場巡礼代参プロジェクト」イベントページの背景画像(陸奥賢さん提供)

コロナ鎮静祈願代参を発願した「陸奥賢」とは何者か?

 このプロジェクトを発願した陸奥賢さんとは何者だろうか?彼のフェイスブックには自己紹介として「観光家/コモンズ・デザイナー/社会実験者/反面教育者」とある。…いかにも怪しい

 実は私は彼を前から知っている。彼が主催する催しに何度か参加したことがあるからだ。

 大阪生まれ、大阪育ち、大阪以外で暮らしたことがないコテコテの大阪人である陸奥さんが催すのは、例えば「大阪七墓巡り復活プロジェクト」「大阪モダン寺巡礼講」「落語まち歩き」…そう、彼はまち歩きを企画する「観光家」なのだ。

 ほかにも、まわしよみ新聞、直観讀みブックマーカー、当事者研究スゴロク、歌垣風呂、仏笑いなど、彼がこれまで10年間に手がけたプロジェクトはすべて「贈与の社会実験」つまり無料の学びツールとして提供されてきた。

 なかでも「まわしよみ新聞」は、情報メディア社会の基礎教養として、アナログ・メディアを使った遊びと学びは必須であると考え考案したもの。2017年(平成29年)に読売教育賞の最優秀賞を受賞したほど評価が高い。「怪しい」けど、単なる「アヤしいオッサン」ではない。

“イベント屋さん”が巡礼代参を思い立ったワケ

 そんな陸奥さんはなぜ今回、コロナ鎮静祈願の巡礼代参を思い立ったのだろうか?

「私はイベント屋さんですから、人と出会っての仕事です。ところが今回の緊急事態宣言と補償なき営業自粛で、すべての仕事がキャンセルになりました。一切収入がなくなったんです

 そんな中で何ができるのか?三密を避けて、ソーシャルディスタンスを保ちながら、お参りするならできるんじゃないか?そう考えました。

 コロナでみんな大変です。だからコロナ鎮静を祈願するなら、やはり病気やけがを治す仏様と慕われているお薬師さんがいいだろう。お参りしたい方は多いだろうけど、なかなかそうもいかない。そういう場合、我が国には昔から『代参』という仕組みがあります。文字通り、あなたの代わりにお参りしますよ、というものです。

 江戸時代に町衆や村落で巡礼の講を作り、お金を積み立てて、コミュニティの代表として壮健な若者を巡礼に旅立たせました。

 『早くコロナがおさまらないと困る』という方は多いはずです。そういう方々に代わって私がお参りし、鎮静を祈願しようと考えました。まあ、私は『壮健な若者』と言えるかどうかはともかく、少なくとも元気ですからね」

愛車を駆って、孤独に、一人で(陸奥賢さん提供)
愛車を駆って、孤独に、一人で(陸奥賢さん提供)

誰もいないのに「みんなといる感じ」

 代参に旅立った陸奥さん。1か所目の奈良市「薬師寺」に午前10時ごろ到着した。門は開いているが、普段は善男善女で賑わう境内には誰もいない

 陸奥さんは一人、お堂に入って、コロナ鎮静祈願のため、「オンコロコロ・センダリマトウギ・ソワカ」というご真言を3回唱えた。

 次はお堂の外に出てライブ配信だ。中は撮影禁止なので、お堂の外からご真言を唱える。その後はオススメの場所として、薬師寺内の「玄奘三蔵院」を紹介した。その模様は以下のリンクで確認できる。

https://www.facebook.com/yakushi49daisan/

陸奥さんオススメの玄奘三蔵院(陸奥賢さん提供)
陸奥さんオススメの玄奘三蔵院(陸奥賢さん提供)

「緊張感がありました。みんなの思いを背負っているから、無事に終わるようにも祈りました。

 誰もいないというのは非日常感がありますよね。不思議な感覚です。でも、みんなと一緒にお参りしているという感じがするんです。代参の面白いところ、醍醐味ですよね」

政権チクリと味わい深く、含蓄のある投稿

 コロナを巡り、陸奥さんはいろいろと味わい深い投稿をフェイスブック上でしている。例えば…

【「未曾有の国難であり、我が妻は国家鎮護のために宇佐神宮にお参りしました。いわば、すなわち、現代の和気清麻呂です」ぐらい言えばいいのに。知らんけど。】

 もちろん、どなたの事かわかりますよね。ほかにも…

【「おれんとこ、マスク2枚、まだ来ーへん。政府は一体なにをしとるんや」「むつさん、マスクないんですか?」「はよネタにしたいのに、みんなに先を越されるやないか!」】

【「三密てなんや?」「密謀、密売、密殺ちゃうか?」「なんや。どっかの政権がやっとる奴やがな」】

 政権をチクリと刺すばかりではない。

【「真言宗の僧侶は三密をテーマにウキウキと法話してるらしいんですよ。ここぞとばかりに!」(某浄土真宗僧侶のボヤキ)】

【人間いうんはみんな必ず「病気持ち」でっせ。しかも「治らん病気」ですわ。僕の場合は多動、楽天、無軌道とかw 生きるいうんは自分の病と折り合って共生することです。】

 …実に含蓄がある

皆さんの支えなしに「コロナ鎮静祈願」は成り立たない

 初日の21日、陸奥さんは6か所の霊場を回った。こうして日帰りでの巡礼を13回繰り返し、西国四十九薬師霊場巡礼を完遂するつもりだ。

薬師寺での巡礼代参を終えた陸奥賢さん(本人提供)
薬師寺での巡礼代参を終えた陸奥賢さん(本人提供)

 しかしこの「代参」は、皆さんの支援なしには成り立たない。陸奥さんはフェイスブックで次のように呼びかけている。

【代参をご希望の方はイベントページのコメント欄に「代参希望」「氏名〇〇〇〇」を書き込んでからカンパ(おいくらでもかまいません。1円でも構いません)を銀行口座、PayPay、シンカブル寄付などでお振込ください。カンパを確認次第、氏名を巡礼服(白衣・無地)に筆で書いて、それを着用ながら四十九薬師霊場を巡らせていただきます。】

 初日の巡礼を終えた陸奥さんはフェイスブックに次のように書き込んだ。

【無事に大阪に帰りました。家に着くまでが巡礼ですw やってみて正直めちゃくちゃハードw なんでこんなアホな事を始めたのか...(遠い目)やりとげますけどね!

 日本国中みなが願うコロナ鎮静祈願のため、あなたも代参に賛同しませんか?

【執筆・相澤冬樹】

西国四十九薬師巡礼(陸奥賢さんのフェイスブックより)
西国四十九薬師巡礼(陸奥賢さんのフェイスブックより)

宮崎生まれ。NHKで記者修業30年余(山口・神戸・東京・徳島・大阪)。森友事件取材中に記者を外され退職。経緯は文春文庫『メディアの闇「安倍官邸vs.NHK」森友取材全真相』。還暦間近なるも修業継続中。「取材は恋愛に似ている」を信条に、Yahoo!ニュースや週刊文春、週刊ポスト、日刊SPA!、日刊ゲンダイなど様々な媒体で執筆。ニュースレター「相澤冬樹のリアル徒然草」配信中→http://fuyu3710.theletter.jp/about

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