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深海ツアーの誘い「断った」人気インフルエンサーが証言。潜水艇タイタンのお粗末な安全管理の裏で

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
(提供:OceanGate Expeditions/REX/アフロ)

タイタニック号の残骸を見に行くツアー中、大西洋の深海で消息を絶った米潜水艇「タイタン」。

事故数日前にユーチューバーが潜水艇内部を体験した動画がアップされ話題になっているが、動画公開の2日後、さらに別の人気ユーチューバーもこのツアーに招待されていたと証言した。

潜水艇の運営会社、オーシャンゲート・エクスペディションズに深海ツアーに誘われたと告白した別のユーチューバーは「MrBeast(ミスタービースト)」チャンネルの、ジミー・ドナルドソン(Jimmy Donaldson)さん。チャンネル登録者数1億6200万人を超える、大人気ユーチューバーだ。

ジミーさんは25日、ツイッターを通し「今月初めに、タイタニック号の探検ツアーに誘われていた」と告白した。ジミーさんは、その誘いを断ったという。

  • 「今月初めにタイタニック号に行く潜水艦に乗らないかと誘われたが、断った。 自分もそれに搭乗していたかもしれないと思うと怖いな」

さらにツイッターには、iMessageのようなテキストの一部も公開。そのテキストにはこう書かれている。

  • 「それから、今月末に私は潜水艇でタイタニック号に行きます。チームはあなたの参加を楽しみにしています」

このテキストはジミーさんをツアーに誘った友人とのやりとりの一部で、スクリーンショットも友人が送ってきたものらしいが、具体的に友人とは誰なのかは不明だ。

別のYouTubeチャンネル「ダルミド(DALLMYD)」のジェイクさんも、同運営会社による深海ツアーに誘われていた一人だ。ジェイクさんはツアーに実際に参加し、その時の様子を23日にYouTubeに公開し話題になっている。このツアーについてジェイクさんは、動画撮影のために訪れたもので、高額のツアー代金を支払って参加した一般の乗客とは異なると言っている。

潜水艇の杜撰な安全管理体制が指摘される中、運営会社は若者に人気のインフルエンサーを利用し、ツアーの宣伝に力を入れようとしていたのかと物議を醸している。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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