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バイデン大統領ら原爆慰霊碑へ 初日終えホワイトハウスが発表「広島ビジョン」の概要 G7広島サミット

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
19日、G7首脳が広島の平和記念公園を訪問。岸田首相を気遣う仏・マクロン大統領。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

19日、G7サミットが広島で開幕した。

初日のこの日、岸田総理は広島の平和記念公園でG7首脳陣を出迎えた後、共に平和記念資料館を訪問。続いて原爆死没者慰霊碑に献花し黙とうを捧げた後、被爆桜の植樹を行った。

被爆地・広島でG7の首脳を招き国際会議を行うことは、自分で「地元」と呼ぶほど広島にゆかりがある岸田首相のたっての希望だった。一時は出席が危ぶまれたアメリカのバイデン大統領も無事に出席し(冒頭写真の右)、G7のリーダーが共に広島の原爆慰霊碑前で顔を合わせた。共に世界に向けて「核なき世界の実現」というメッセージを発信した意義は大きい。

初日を終え、ホワイトハウスはアメリカ時間の19日、G7 Leaders’ Hiroshima Vision on Nuclear Disarmament(核軍縮に関するG7首脳の広島ビジョン)と題した声明を発表した。

まず冒頭は、このような書き出しだ。

「歴史的な転換期の中、我々G7のリーダーたちは、広島の歴史的な場所に集まった。広島は長崎と共に1945年の原爆投下が人々にもたらした未曾有の惨状と計り知れない人的被害の記憶を思い起こさせる。厳粛に向き合う中で、我々は特に核軍縮に焦点を当てたこの初のG7首脳文書において、すべての人の安全が損なわれないよう核兵器のない世界の実現に向けた決意を再確認した」

一方、次の段落では、核兵器が必要な理由が書かれている。

77年間にわたる核兵器の不使用を強調した上で、核兵器とは「核兵器というものが存在する限りは、防衛のための役割を果たすもの」という見解だ。核兵器があることで戦争や他国からの侵略を防ぐことができ、安全保障上必要なものという考えがベースにあるとしている。

核なき世界の実現のために、どんなに困難であっても、世界的な努力が欠かせないとし、そのための教育や支援活動が重要だという。

「他国のリーダーや若者など世界中の人々が広島と長崎を訪れ、そこで目撃できる核兵器使用の現実に対する意識を高め、維持することを奨励する」

また声明文では、核兵器不拡散条約(NPT)を維持する必要性を説き、核軍縮へ向けた岸田首相の行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」を歓迎するとしている。

ヒロシマ・アクション・プランの一環として、日本が国連軍縮部(UNODA)に対し1000万ドル(日本円で13億円)を拠出する「ユース非核リーダー基金」の取り組みなどが評価されている。

ユース非核リーダー基金とは海外から若者を日本に招き、広島や長崎の訪問などを通して被爆の実相に触れてもらうことが主要な目的として、プログラム参加者の募集が今月18日から始まったばかりだ。

そのほか声明文中で名指しした各国へのメッセージ

対ロシア:

昨年1月3日に発表した核保有の5ヵ国(アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリス)による核戦争の防止と軍拡競争の回避のための共同声明を改めて確認した上で、「ロシアによる核兵器使用の可能性をちらつかせる無責任な言い回しやベラルーシへの核兵器配備計画の発言は容認できない」。

ロシアが新START(新戦略兵器削減条約)の履行停止を決定したことについては「遺憾」とし、履行への復帰を求めた。

対中国:

「情報の透明性も有益な対話もないまま核戦力の増強を加速させていることは世界にとって懸念事項である」とした。

対中国とロシア:

核兵器のない世界は核不拡散なしには実現できない。よってNPT(核兵器不拡散条約)に基づく義務に沿って、他国との協調を求めた。

対北朝鮮:

国連安全保障理事会決議(UNSCRs)に従って、北朝鮮が核開発計画ならびに大量破壊兵器(WMD)、弾道ミサイル計画を完全に放棄する目標に向け、揺るぎないコミットメントを改めて表明。

対イラン:

イランの核開発の勢いは増しており改めて懸念を表明。外交的解決を進める意向を示す一方、国際原子力機関(IAEA)とイランの会談(イランは核施設の監視や査察官の検査をIAEAに許可し、協力を継続すると表明)については称賛した。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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