アルファード対抗も「中国ZEEKR」の先端クルマ作り、“ギガキャスト”活用、電池含め生産自動化徹底
杭州湾工場のギガキャストで作られる部品はSAEプラットフォームと呼ばれ、A~Eセグメントサイズに対応できるとしている。このプラットフォームには200億元(約4000億円)以上の投資をしたというのだから、スケールはデカい。SAEプラットフォームの特徴は、ギガキャストの採用と同時にサイドシル構造にもある。ハニカムではないが、何やら四角いプレートが挟み込まれた構造で、サイドインパクトやオフセット衝突で順番に潰れていく構造としていて、世界初の構造だと説明している。
バッテリーは600kgの重さで、フロアに搭載される。001と009に関してはCATL(寧徳時代新能源科技)製の三元系NMC(ニッケル、マンガン、コバルト)リチウムイオン電池を搭載。また、リン酸鉄系リチウムイオン電池(LFP)を積むモデルもあり、こちらはVReMT(ヴィレイ)から調達している。このVReMTは吉利汽車の子会社で、NMCも生産しており、そのNMCはボルボに採用している。どちらもこれまでの発火事故はゼロだという。
■バッテリー生産は91%自動化 このVReMTでのバッテリー生産技術は91%自動化されており、23工程を9人で管理している。また、モーターもここで製造しおり、基本は駆動モーター、インバター、減速機を1ユニットにした「3 in 1」構造。モーターは2タイプあり、高級モデル用の高効率モーターのEDS1は年産45万個、Smartなどの小型車に採用されているEDS2は年産8万個だという。 寧波の杭州湾工場に話を戻すと、ロボットはABB、KUKAなどドイツ一色(ただし、KUKAは中国の美的集団傘下)だった。工場内は5Gに対応しており物搬はAGV(自動搬送車)ロボットが800台稼働している。人員は200人だが、ロボットの管理者が多い。
そのロボットの点検はARゴーグルを使ってAIがチェックし、人間はスクリーンを見ているだけで修復ができるというのだ。従って、工場内は電灯も薄暗く、人の作業に適さない暗い工場で電力消費を抑えた設計なのだ。 驚いたのは混流生産方式において自動で治具が入れ替わる仕組みだ。治具ごと入れ替わる工場は見たことがなく、新しいクルマの作り方がここにあると感じる景色だった。もちろん人は介在しておらず、自動で入れ替わるのだから管理さえしっかりできていれば、正確にモノが作られていくということか。