【有馬記念】白毛馬初参戦ハヤヤッコ 中山を“白く染める” 国枝師「盛り上がるといいね」
24年中央競馬の総決算「第69回有馬記念」(22日)まであと5日に迫った。白毛馬として初めて冬のグランプリに挑むハヤヤッコは前走重賞勝ち。後方一気とド派手なパフォーマンスでハートをわしづかみ。勢いを持って大舞台へ向かう。8歳牡馬はベテランにしてツヨカワアイドル。寒空の中山で元気にシュプールを描く。 クリスマスを前に、中山競馬場が純白に染まる。ハヤヤッコが白毛伝説に新たな一ページを刻む。名前の由来は、速くて(豆腐のように)白い。管理する国枝師も「白毛はやっぱり目立つよね。ネーミングもいい。ドリーム競馬で走るんだから盛り上がってくれるといいね」と初の“ホワイト有馬”に気持ちが高ぶる。 ハヤヤッコが厩舎にやって来たのが18年。初めて白毛馬を担当した田村助手は、あまりの白さに驚いた。「最初は“ヤギみたいだな”って思いましたね(笑い)」。入厩から6年。輝く馬体を保つため、入念な手入れを欠かさない。「何年も一緒にいるから今は慣れたものですけど、最初は大変。他の馬と違って、この馬は調教しただけでも汚れが目立つんですから。より丁寧に体をこすっています。本当にアイドルを預かっている気分なんですよ」と愛馬を優しく撫でた。 可愛らしい容姿に加え、G1出走に恥じない確かな実力も備わっている。19年レパードSで白毛馬初のJRA重賞Vを飾ると、22年函館記念でも勝利。芝とダートで重賞を制した。立派な“二刀流”だ。10番人気だった前走アルゼンチン共和国杯は鮮やかな後方一気、ファンを驚かせた。「勝ち方もスター。持っているんでしょうね。まだ気持ちが若い。だからここまで走れるんでしょう」と田村助手は強さの秘訣(ひけつ)を明かす。ツヨカワホースは人間でいえばおよそ40歳前後、8歳を迎えた今も元気いっぱいだ。 人気はすでにG1級。「2024アイドルホースオーディション」では1万215票を集め現役部門2位。縫いぐるみの製作も決まった。有馬記念のファン投票も並み居るG1馬の中に名を連ね、21年ダービー馬シャフリヤールより一つ上の27位(4万1872票)。ファンも待ち望んだ出走となる。 「この馬と出合うまで“重賞を勝てないまま厩務員人生が終わるんだろうな”と思っていた。本当に感謝しかありません」と田村助手が話せば、国枝師も「8歳でこの活躍。俺も見習わないといけないな。頭が下がります」と笑った。ホワイトスターが夢の詰まった白星を届ける。 ≪吉田豊20年ぶり参戦≫吉田豊は04年のハイアーゲーム(6着)以来、20年ぶりの有馬参戦となる。「ファンの関心があるレースですし、そこに目立つ馬で乗れるというのは光栄です」と久々の騎乗を待ち望んでいる。前走アルゼンチン共和国杯は初コンビでVと“一発回答”。弟の隼人は15年にゴールドアクターでV。この時もアルゼンチン共和国杯(1着)からのローテだった。兄も続くことができるか。 ≪ソダシ白毛世界初G1≫白毛馬のG1初参戦は08年秋華賞のユキチャンで17着に終わった。それから12年、ユキチャンの近親となるソダシがデビュー。20年阪神JFでソダシが勝ち、白毛馬として世界初のG1ホースに輝いた。その後も21年桜花賞、22年ヴィクトリアMで勝利。“ソダシ・フィーバー”が巻き起こり、競馬界を盛り上げた。今度はハヤヤッコの番。白毛馬初の牡牝混合芝G1制覇を目指す。