<脱炭素で思考停止する日本>注目すべき中国の石炭火力低炭素化への戦略とは?
日本もエネルギーミックスの検討を
以上、中国における火力のアンモニア混焼の経済性と今後のコストダウンの可能性について現状入手できた情報に基づき検討した。限られた情報からで確固とした見通しを得ることはできなかったが、火力の低炭素化に先鞭をつけたわが国を差し置いて、社会実装においては中国において大きく進んでいく可能性は高い。 何よりも中国では、再エネ発電事業者に発電余剰対策で一定の蓄電義務を負わせているのに加え、火力のアンモニア混焼(加えてCCS)という選択肢も伸ばすことで世界最大の導入量を誇る再エネの安定供給上の問題に対処しようとする現実的な戦略性に刮目すべきだ。再エネも火力もそれぞれのコストとベネフィットを(完全ではないが)反映したエネルギーミックスを中国は構築していこうとしている。 隣国の取り組みを直視し、脱炭素という掛け声の下で思考停止して闇雲に再エネ主力電源化を進めてきた、近年のわが国のエネルギー政策が見直されることを期待したい。
堀井伸浩