ウクライナ待望の「F-16」の使い道は米大統領選の行方にかかっている!? 識者が語る徹底運用シミュレーション
「これはまさに、ゼレンスキーの言った『防空任務』だといえます。自分たちのF-16はウクライナ領空から出ていないから防空だったわけです。そして、ウクライナ国境付近を飛んでいたSu34のような高性能機を撃ち落としていますからね」(杉山氏) ウ軍のF-16によって、その爆弾を投下する露空軍Su34を撃墜できたら、東部の最前線はどうなるのだろうか。 「Su34を撃墜されれば、滑空爆弾が来なくなる。滑空爆弾が指向できなくなれば、最前線の戦死者、負傷兵の損害が少なくなり、予備兵力の消耗が少なくなります。これにより、ウ軍と露軍の間の戦力バランスが保たれて、最前線が動かなくなっていきます。 現在、後方では新兵教育を行っており、逐次前線へ投入されてきます。これにより、新しい米国大統領が就任する来年の1月頃でも、今の戦線が可能となります」(二見氏) 8月6日には、ウ軍がロシア本土クルスク州に大規模越境攻撃を開始した。そして、ロシアからウクライナ経由でEU諸国に天然ガスを輸送するガス施設を制圧。ここを奪還するのに、露空軍は誘導滑空爆弾を搭載したSu34を飛ばすはずだ。 「ウ空軍のF-16がクルスク戦域に近づくSu34戦闘機の情報を得て、それを落とすことは可能です」(杉山氏) このようにF-16を使うかどうかは、ゼレンスキー大統領次第だ。この記事が出るころにはすでにF-16は使われているかもしれない。 トランプが米国次期大統領となれば、ウクライナ戦争は1月11日から停戦に向けて突き進む。一方、ハリスが大統領となれば、今のバイデン大統領の支援方針を継承する可能性は高い。米国大統領選挙の投票日の11月5日、ウクライナ戦争の行方が決まる。 取材・文/小峯隆生