「ハウスチェック」でおなじみ、英王室愛用のダックス 130周年で記念アイテムも
連載《ロイヤルワラント図鑑》Vol.17
「ハウスチェック」と呼ばれるオリジナルのチェック柄がアイコニックな英国の老舗ブランド、ダックスは2024年で創業130周年を迎えた。 【写真はこちら】創業当時のシメオンの店の看板をはじめ、歴史を物語る貴重な写真から、メンズとウィメンズの2024年秋のおすすめアイテムまで写真はココからチェック! 同ブランドは、世界で初めてテーラードの機械化に成功。さらに世界初のベルトレスのスラックス「ダックス トップ」を発明するなど、既成概念を破る服作りで英国紳士服の歴史に革命を起こしたブランドだ。今回はそんな奥深きダックスの物語を深掘りしながら、アニバーサリーイヤーを彩る注目アイテムをピックアップ。
■ビスポークテーラーとして1894年に創業
英国を代表するファッションブランド、ダックスは1894年、わずか16歳のシメオン・シンプソンが、衣料品業界の中心地であったロンドン・ミドルセックスストリートに小さなテーラーを開業したのが始まりだ。 ビスポークテーラーとしての高い技術と、実業家としてのビジネスセンスを持ち合わせていたシメオンは、世界で初めてテーラードの機械化に成功。高品質な「シンプソンスーツ」が好評を博し、1930年代には紳士服の分野で英国最大規模のメーカーへと成長。国内のみならず、海外にも販路を拡大する。
■世界初、ベルトレス・スラックスを開発
シメオン亡き後に事業を引き継いだ次男のアレクザンダーは1934年、当時の英国紳士服に大きな変化をもたらす新商品を開発した。それが「ダックス トップ(DAKS TOP)」と呼ばれる世界初のベルトレス・スラックスだ。 ゴルフ好きだったアレクザンダーは、クラブをスイングするたびにスラックスのサスペンダーが邪魔になり、ウエストからシャツがずれ上がることに苛立(いらだ)ちを感じていたという。 その問題を解消するために生み出したのが、ウエストに伸縮自在なゴムを配し、ベルトやサスペンダーがなくても快適にはけるウエストバンド付きのスラックスだった。
■原点となったスラックス ブランド名の由来にも
また、当時はスラックスといえばグレーのフラノ素材一択だったが、ダックスは素材のバリエーションを増やすとともに、50色にも及ぶカラーを展開。 英国紳士の装いや行動の幅を広げた「ダックス トップ」は、1本30シリングという高価格だったにもかかわらず大ヒット(当時はスーツ1着が15シリングだった)。「ダックス トップ」の特許を取得したブランドは、世界のマーケットで飛躍的な成長を遂げた。 ちなみにブランド名のダックス(DAKS)は、アレクザンダーが尊敬する創業者の父を呼ぶ表現「ダディ(Daddy)」と、原点である「スラックス(Slacks)」が由来になったといわれている。