「ハウスチェック」でおなじみ、英王室愛用のダックス 130周年で記念アイテムも
■百貨店をオープン ショールーム的役割を担う
そんな「スラックス革命」を起こしたダックスの勢いは、その後も止まらない。 アレクザンダーは1936年、ロンドンのピカデリーサーカスにある地質学博物館の跡地を買収し、百貨店「シンプソン・ピカデリー」をオープンした。 地上7階、地下1階からなる同店は、「ロンドンの中心地に、自社製品のショールームになる最高のメンズストアを建てたい」という彼の思いを反映したものだった。 メインストリートに面した凹型の巨大ショーウインドーや、夜間に中央階段を照らす電灯など、画期的なアイデアを取り入れた百貨店には理髪店やレストランなどの施設も設けられ、最先端スポットとして話題に。 1937年からは婦人服分野にも進出。紳士服メーカーのノウハウを生かした本格的なテーラードジャケットやスカート、コート、アクセサリーは「シンプソン・ピカデリー」でも販売され、人気を集めた(注:シンプソン・ピカデリーは1999年に閉店)。
■アイコン「ハウスチェック」の誕生
ダックスが掲げるブランドポリシーのひとつに、「一目でダックスとわかること(One look tells you it’s DAKS.)」という一文がある。その精神を物語るのが「ハウスチェック」の存在だ。 ダックスの代名詞といえるオリジナルのチェック柄、「ハウスチェック」が考案されたのは1976年。 最高級素材であるキャメルとビキューナ(ラクダ科の動物の体毛からつくる上質な繊維)の色に、黒を加えた3色で構成されるチェックは、「一目でダックスだとわかる」唯一無二のアイコンに。 今日に至るまで、様々な商品や広告で採用されてきた。 最新の2024年秋冬コレクションでも、「ハウスチェック」をモダンに再解釈した表情豊かなチェック柄アイテムが豊富にそろっているので注目だ。
■英王室との絆 130年間で3つのワラントを保有
ここからブランドと英王室との関係について見ていこう。英王室とは古くから深い絆で結ばれていた。 例えば、創業者の次男であるアレクザンダーが創業した前述の百貨店、「シンプソン・ピカデリー」は、バッキンガム宮殿からほど近い場所に位置していた。 シニア販売員は宮殿に出向き、エリザベス女王や夫のエディンバラ公フィリップ殿下(王配)をはじめ、ロイヤルファミリーメンバーにダックスの商品を披露する重要な役目を担っていたという。 そんな縁もあり、ダックスは3つのロイヤルワラントを保有したことがある。 1956年にフィリップ殿下、1962年にエリザベス女王、そして1982年に当時のチャールズ皇太子からロイヤルワラントを授与された。お二人の逝去により状況は変わったものの、2024年9月現在、ダックスはチャールズ国王から授与されたワラントを引き続き、保有している。